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ここは“カレー者”たちの秘密養成所。7つの穴でカレーを極めろ!

カレーヨーグルト

恐るべき問題作(森永乳業)

カレーヨーグルト
 市場競争が激しい日本では、売れない商品は淘汰される運命にあります。この「試食の穴」で以前紹介した「カレーU.F.O」もそう。一部の物好き以外には見向きもされず、いつの間にか幻と消えていくのです。

 そしてここに、売り出された時点ですでに半分ほど消えかかっているような製品が登場しました。その名も「カレーヨーグルト」。森永乳業も大きな賭に出たものです。チャレンジ精神は買いますが…。


 これを見つけ出してきてくれたのは会社の後輩Nくん。「レア物を引き寄せてしまう特異体質なんです」という彼と一緒に、おそるおそる試食しました。

 内容量は130グラム。いかにも“カレー系”らしい黄色いカップに入っており、上蓋にはインド象やシーク教徒のイラストがあしらわれています。「ビックリなおいしさ」という売り文句の下に、なぜか赤い字で「電子レンジでの加熱はおやめください」。

 上蓋をはがすと、そこには薄黄色に染まったヨーグルトが。香辛料らしき黄色い粒子や、何かの具と思われる砕片が確認できます。あまりカレーらしくは見えないものの、匂いは「冷えたカレー」にそっくり。
 トロリとした粘液を食べると、舌が奇妙な甘酸っぱさに包まれました。チャツネやヨーグルトなどインドカレーに加える甘味や酸味を、意図的に強調してある感じ。それが、冷たさを伴って口の中に広がります。細かいながらもちゃんと肉や野菜が入っており、そのせいか、残り物の冷えたカレーを食べているような気分にさせられました。

 Nくんは途中で「僕はもう食べられません」とリタイヤ。結局、私が最後まで食べました。「ビックリな」ことは確かでしたが、それが果たして「おいしさ」だったのかは疑問です。
 いちおうデザートらしいのですが、とてもデザート気分では食べられません。救いがあるとすれば、カレー料理に応用できそうな点。普通のヨーグルトと同様、そのままカレーに入れたり、肉を軟らかくする漬け汁などに使えるかもしれません。

後日談 記事を掲載してから12日後、当の森永乳業にお勤めの女性からメールをいただきました。「大きな声ではいえませんが、うちの事業所(研究所)でもカレーヨーグルトの評判は芳しくなく、今まで1人しか好感を持った人を知りません。しかし、斬新な商品を市場に出せるような頭の柔軟性を、皮肉ではなく素直に評価しております」とのこと。なるほど私も、ヒット商品というものは不人気商品の屍を肥やしにして育つものだと思っています。森永乳業には今後も一層の奮起を期待しています。また、ご意見ばかりでなく、食べ方の“裏技”も教えていただきました。「温かい御飯にかけて食べる暴挙に出たところ、タイ風カレーに近い味になるという、以外な結果を得ました。それだけでなく、サラダのドレッシングとして、クラッカーのディップとして試していただきたく思います」と興味をそそられます。チャレンジ精神のある人は、お試しあれ。

 …さらに後、カレーヨーグルトは店頭から消え去りました(ちなみに、中嶋君も会社を辞めました)。商品としての寿命は3カ月も無かったのではないでしょうか。ですが、数年経っても、時たま「カレーヨーグルトって、どこに売ってあるのですか?」という問い合わせが寄せられます。伝説となった、希有なカレー製品と言えましょう。