フジテレビ系列で97年夏に放送されたドラマ「コーチ」。試食した「サバカレー」は、このドラマに登場しました。
浅野温子演じるキャリアウーマンが、左遷先の缶詰工場の経営を建て直す物語。その中で、玉置浩二扮する従業員が、売れ行きの悪いサバの缶詰をカレーにしてみたところ、販売店から注文が殺到する大ヒット。工場再建の起爆剤となりました。
私が食べたのは、千葉県の缶詰工場会社で実際に製品化され、テレビ局の視聴者プレゼントなどで配布されたもの。放送から1年近くを経て、テレビ局に余っていた缶詰が偶然手に入ったのです。なお、サバカレーは非売品ではなく、関東圏のお土産物として、JR駅や空港の売店で販売されています。
スパイス以上に魚が突出
缶詰は内容量190グラム。黄色いラベルに、サバを抱えたインド人らしきイラストが描かれ、外観はなかなかシャレています。
プルトップを開けると、スパイスとともにサバらしき魚の香りがプーン。電子レンジで温め、ご飯にかけてみたところ、薄い色のルーをまとったサバ身の塊が2つほど入っていました。サバをのぞけば、さいの目に切ったニンジンとジャガイモ、そして煮崩れたタマネギという、オーソドックスな日本のカレーです。
食べてみると、意外に辛口。ですが、スパイスよりもサバの風味が突出しています。ラベルの原材料名には「ウスターソース」や「ビーフブイヨン」と書いてあるものの、舌が感じるのはサバの味ばかり。魚嫌いの子供にサバカレーを与えても、食べないような気がします。
決してまずくはありませんが、肉入りカレーのおいしさに達するほどでもない。近ごろ、類似のサバカレーを見かけるようになりましたが、ヒットするかは疑問です。
ただ、サバは栄養価が高くて安価なので、材料として活用したいところ。家庭でもサバの水煮を使うだけで、似たカレーができるかも。
後日談 正直、ドラマ終了とともに消える“一発屋”と思っていました。ところが、バリエーションが増えたり、追随するメーカーが出てきたりして、立派なロングセラーに。初めての「試食」だったこともあってか、読みが甘かった…。