讃岐うどんに「ひやあつ」というスタイルがあります。冷たいうどんと熱いダシの組み合わせ。うどんのコシとダシの香りが共に楽しめる、通人好みの食べ方とか。
カレーにも「ひやあつ」はあります。冷やご飯に熱いカレーをかけるのです。讃岐うどんとは狙いが異なりますが、こちらも味わい深く、これも通好みかも。
少年時代、私は「ひやあつ」のおいしさを経験的に知っていました。
前夜のカレーライスが残った翌朝、私はカレーだけを温め、ご飯は冷たいままで食べていたのです。あわただしい朝に蒸し器でご飯を温め直す時間が惜しいという事情もありますが、それ以上に、「ひやあつ」で食べるカレーがおいしかったから。
ご飯がパラリと食べやすく
何がどうおいしかったのか、二十余年を経てボキャブラリーが増えた今、再検証することにしました。
カレーは、家庭料理の平均的な味に近い「ボンカレーゴールド21」(中辛)。ご飯は、熱かったものを皿に広げ、冷蔵庫で10分ほど冷やしました。ちなみに、イメージ写真(?)は拙宅の冷蔵庫です。
冷たさと熱さのコントラストを楽しむべく、冷たいご飯を皿の片側に寄せ、熱したレトルトカレーを反対側にかけます。両者の温度差は、70度近くはあるでしょう。
食べながら、冷や飯カレーの特長に気付きました。スプーンで交ぜ合わせるうちに、固まっていた冷やご飯の表面が熱されてほぐれ、カレーに合うパラリとした食感に変わります。また、熱いカレーは風味が強く出る半面、“ハフハフ”状態になるものですが、「ひやあつ」ならば冷やご飯で緩和され、無理なく咀嚼できるのです。
おいしくて食べやすいので、数分で平らげてしまいました。温かいご飯を冷やすのは本末転倒でしょうが、わざわざ電子レンジで冷やご飯を温める必要性を感じなくなりました。冷や飯カレーは意外とイケるのです。
なお、冷たいカレーと熱いご飯の組み合わせは、ある種の風情はあるかも知れませんが、おいしくはないので、ご注意を。