職人の世界には“系譜”が存在します。師匠から弟子へ、技術や思想などが受け継がれていく、その流れのことです。
カレーにおいて有名なのは「デリー」。元従業員らによる“のれん分け”のほか、インスパイアされた店、リスペクトしている店などが、全国各地に散在しているようです。
系譜の頂点…“源流”に当たる「デリー」の本店は、東京都文京区の湯島3丁目にあります。春日通りの路面店で、コーヒーかドーナツのチェーン店っぽい、老舗らしからぬ店構え。
店内は奥に細長く、こちらも老舗らしからぬ、いささか窮屈な作りです。感じがします。カウンター8席、テーブル4卓8席。
口の中で辛さがヒートアップ
メニューは、名高いカシミールカレーをはじめ、コルマカレーやベンガルカレー、ドライカレーなど多彩です。
私は「極辛」とされるカシミールカレーを注文。評判のタンドーリチキンティカも食べてみたかったのですが、その前にカレー屋を“はしご”していたため、残念ながら見送りました。
焦げ茶色のカレーは、粘度が低そう。鶏肉らしい小塊が数個、確認できます。別皿で出てきたご飯は、結構なボリュームです。
カレーはサラサラのスープ状で、皿の底にタマネギらしい細粒が沈殿しています。食べた直後は、酸味を伴わないストレートな甘さが前面に。続いて、辛さがジンワリと利いてきて、口の中で徐々にヒートアップ。強い刺激より、むしろ、さまざまなスパイスの風味が混ざり合ったマイルドさが印象的でした。
具材は、鶏肉3切れとジャガイモ1切れで、いずれもポーションは大きめ。肉はジューシーに仕上がっていました。
店を“はしご”して来たにも関らず、完食できました。ご飯がおいしく食べられるカレーでした。
この店のカレーは、各種類で趣が大きく異なる模様。いずれ、他のメニューも食べてみたいです。
ところで、かつて熊本市にあった名店「ニューデリー」も、「デリー」の系譜に連なる…と耳にしたことがあります。真偽は不明ですが。