個人的に外せない、夏のイベント「芦北伽哩街道」。
芦北町と水俣市の飲食店が、工夫とセンスと遊び心でもって考案した数々のカレーは、この時しか食べられない個性派ぞろいです。
今夏の参加店舗は15店。このうち5店を食べ歩きました。
回るたびに新たな楽しさが
最初に訪れたのは「さるかに合掌亭」。参加メニューは「海の幸、山の幸カレー」(写真上)です。
地元産のサラダタマネギをたっぷり使っているというカレーは、粘度が高くてコッテリ。しっかりとした甘味と旨味があります。カレーの上には、タチウオの切り身を寄せた、直径8センチほどのかき揚げが1個。クリスピーな歯触りとは対称的に、身はフンワリと軟らかい。豊かな味わいのかき揚げが、濃いめのカレーに負けていません。皿の脇にはミニサラダも盛られており、全体的にボリューム満点でした。
お次は「マリーンスポットM」へ。ここは「芦北牛の牛モツカレー」(写真上から2番目)でエントリーしています。
入っている具材は、大きさ3~5センチほどの牛モツ3切れと、直径3センチほどの小タマネギ。一見シンプルですが、溶け込んでいるモツの脂が、深みのある上品な甘味となり、カレーの味わいを何ランクも高めています。フルフルとしたモツは、噛みしめると旨味がジワリ。小タマネギは丸い形状を保ちながらも、スプーンで切れる軟らかさです。“海の家”のカレーらしからぬ(失礼)、高い完成度に驚かされました。
3軒目は「味乃なじみ」。食べたのは「かっちょの彩鶏(いろどり)カレー」(写真上から3番目)です。
この参加メニュー、実は昨年と同じです。牛スジのカレーに、素揚げした夏野菜や、湯むきのトマト、チキンカツなどが多彩に盛り込んであります。好評を受けて再登場させたそうですが、なるほど、ランチタイムの店内は、ほぼ全員が「彩鶏カレー」を食べていました。お客さんが「“カレー街道”を3つ下さい」と注文しているところも目撃、イベントの定着ぶりがうかがえます。再登場に至った、この人気はホンモノですね。
4軒目は「南里」です。参加メニューは「伽哩なるステーキ」(写真上から4番目)。
芦北牛のスネ肉を、カレーで煮込んであるとのこと。スネ肉は縦横が約6センチ、厚さ約2センチあり、軟らかくてジューシーです。密集した太い繊維質を、トロトロのゼラチン質が取り巻いており、食べ応え充分。中辛のカレーも手伝って、ご飯が進む進む。フライドオニオンや温野菜などを添え、洋食っぽいスタイルで提供されるものの、味噌汁まで付いているところは、和風レストランらしいご愛嬌でしょうか。
最後は「たばくまん」に行きました。「十穀カレーうどん」(写真下)を注文。
カレーうどんと天ぷらのセットです。やや細めのうどんは、少々くすんだ色合いで、雑穀が混ざっているとのこと。カレー味の出汁は、ホットな刺激に、トマトの酸味や旨味が利いて、どこかイタリアンな風情も。別盛りの天ぷらは、サラダタマネギとちりめんじゃこのかき揚げ、タチウオ、オクラです。中でもかき揚げは、タマネギとじゃこの香ばしさが印象的。カレーに浸して食べると、何ともオツなおいしさでした。
今夏は、カレーうどんで参加している店が「たばくまん」を含め3軒あるので、食べ比べてみると面白そう。また、「味乃なじみ」の他にも、過去に人気を博したメニューを再登場させている店があり、これらでは“評価の定まっている自信作”が食べられるという安心感があります。
毎夏コンスタントに食べ回っているのですが、そのたびに新たな楽しさに出合えるイベントです。