この「探訪の穴」は、カレー屋さんを訪ねてリポートしているコーナーです。
ところが今回、嬉しいことに、カレー屋さんがこちらに歩み寄って下さいました。
訪れたのは「修行咖喱」。カフェなどの店舗を借りたり、イベントなどの屋台として、不定期に運営している店(?)です。
たまたま、拙宅(熊本県八代市)の近所にあるダイニングバー「バロンズ倶楽部」の店舗を借りて、4日間限定で「修行咖喱」が“開催”されることに。ウワサを聞いて訪れた次第です。
店主(?)の猿渡幸司さんは、気さくで礼儀正しい好人物。日本で知り合ったスリランカ人に料理を教わり、以後は独学でカレーの道を追究しているそうです。拠点は熊本にあるものの、「今年は北九州から鹿児島まで、週2回くらいのペースでカレーを作って回りましたね」と話していました。
“追っかけ”になりたい
カレーは日替わりで1種類。
この日は「ココナッツダル&トマトサーバ」。店舗の外に立てかけられた黒板に、そう書いてありました。
大皿に盛られたカレーが到着。向かって右側がココナッツダル、左側がトマトサーバ。中央にご飯。水菜とネギ、赤キャベツとレンコンのピクルス、それにパパドが添えられています。色鮮やかでおいしそう。
混ぜ合わせて食べるべきカレーなのですが、あえて初めは個別に味わってみました。クリーミーなココナッツダルは、ヒヨコ豆のホクホクとした舌触りが優しい半面、スパイスの刺激がかなり強い。固形分が多いトマトサーバは、ほぐしたサバが入っており、刺激は控えめながらも深い風味が特徴的です。ご飯は古代米と押し麦のブレンド、強い旨味と軽い口当たりを両立させる工夫でしょうか。
続いて、皿全体をザックリ混ぜ合わせます。ココナッツダルの刺激が緩和され、そこにトマトサーバのコクが加わって、何とも良い塩梅に。ご飯が進みます。さらには、水菜のシャキシャキ感や、割り入れたパパドのパリパリ感、ピクルスの酸味や食感などがアクセントになり、混ぜるほどに食べるほどに味わいが変化していくのが楽しい。比較的あっさりとした味付けだったことも手伝い、胃袋にスルリと収まりました。
遠隔地へ“修行”に出た時は、できるだけ地元の食材を使い、メニューを柔軟に組み立てるそうです。猿渡さんの“追っかけ”になって、各地でさまざまなカレーを食べてみたくなりました。
店を出る時、猿渡さんからステッカーをいただきました。「spices is high」…ですよね♪