福岡県北九州市の門司区と言えば、焼きカレーが名物。有力な観光資源として定着し、当地ではさまざまな飲食店がメニューに「焼きカレー」を載せています。
ならば、インド料理店ではどうか?
正統派・本格派からは“亜流”とも“邪道”とも見なされそうな焼きカレーは、門司のインド料理店でも食べられるのでしょうか? 食べられるとすれば、どのような焼きカレーでしょうか?
シーフードピラフが特徴
JR門司港駅近くの観光スポット「門司港レトロ」にある商業施設「海峡プラザ」。販売される土産物も、提供される飲食物も、すべて観光客向けです。
この施設の東端1階に、インド料理店「ナンダン」があります。店舗のガラス戸には、「焼きカレー」の大きな文字が。
8月の日曜日に訪れたところ、観光客で大にぎわい。店舗前には仮設テントが立ち、かき氷やラッシーなどを売っていました。
暖色でまとめられた店内。ヒンドゥー教っぽい絵画や小物が飾られています。カウンターは5席、大小あるテーブルは計30席ほど。インド系と思われる数人が、厨房や客席でキビキビと立ち働いています。
メニューブックには何十種類ものインド料理が。別にランチ向けの簡便なメニューもあって、こちらは焼きカレー中心のシンプルでストレートな内容。しばし客席を観察してみたところ、来店者のほとんどが焼きカレーを注文しているようでした。
長径18センチほどのグラタン皿で、熱々の焼きカレーが登場。たっぷり載ったチーズが少し焦げていたりして、食欲をそそります。セットメニューを注文したところ、焼きたてのナンやドリンクが付いていました。
見た目どおりの、オーソドックスな焼きカレーです。香ばしくて旨味も強い。けれど、辛さは控えめ。ちなみに、子供向けのマイルドな焼きカレーもありました。
ご飯の中に、小さなエビやアサリ、ミジン切りのピーマンなどを発見。シーフードピラフが使ってあるのです。いささか地味ながら、この店の焼きカレーの特徴でしょう。
個人的には、焼きカレーをナンと一緒に食べられるところが面白かった。焼きカレーは味付けが濃いので、あっさりとしたナンに合います。主食同士だけど、ラーメン&ギョーザ、うどん&おにぎりなど、私たちには身近な組み合わせですよね。
“亜流”でも“邪道”でも、売れるとなれば、インド料理店でも焼きカレーを扱うのです。そして、日本の寿司店でカリフォルニアロールが食べられるように、いつしかインドでも焼きカレーが食べられるようになるのかも知れません。