よく「蕎麦屋のカレーは意外にイケる」と言われます。蕎麦つゆを流用したカレーは、日本人好みの強い旨味があるからです。
私が住んでいる熊本県八代市にも、カレーがおいしい蕎麦屋があります(もちろん、蕎麦もおいしいです)。高島町の「蕎麦工房 マル新」。正式な店名は「○」の中に「新」を書きますが、字体が無いので、ここではマル新と表記します。
カウンター3席、テーブル6席のこぢんまりとした店構え。木材がふんだんに使われた店内は、ホッと落ち着ける不思議な空間です。お客が多い時は、隣接する住居の座敷が開放され、さらに10人程度は入れます。
コッテリ濃厚 牛スジ入り
店主のけんちゃんは粉使いの名手。蕎麦のみならず、うどんや手延べラーメン、さらに刀削麺などの珍しい麺料理も習得しています。いろんなものに興味を持って取り組む人物で、かつて私とカレー南蛮を共作したこともありました。
マル新で一番のお勧めは、もちろんざる蕎麦ですが、メニューにはカレー南蛮とミニカレー丼もあります。今回は後者を食べました。
大ぶりの茶碗に、焦げ茶色のカレー。半熟卵を中心に、刻んだネギとノリ、ショウガがトッピングされています。下のご飯は見えません。
カレーは見た目通り、コッテリと濃厚です。結構な辛口ですが、半熟卵と混ぜ合わせると、程良い味わいに。肉は牛スジで、保温鍋で長時間煮込んでいるとのこと。原形を留めないほど軟らかくなったスジ肉が、カレーのボリューム感を増しています。ネギやショウガのシャリシャリとした食感が、カレーとの間に鮮やかなコントラストを生み出していました。
蕎麦をたぐった後、まだ胃袋に余裕があるかな…という時に格好のご飯メニューです。ミニカレー丼だけを食べることもできますが、まずは香り高い蕎麦を食べましょう。