料理がおいしいに越したことはないけれど。
その背景に、興趣をそそる“物語”があると、さらにおいしく感じられたりしますよね。
今回試食したのは「成瀬ダム スリランカカレー」というレトルト製品。秋田県東成瀬村への「ふるさと納税」の返礼品として入手したものです。
製品名にある「成瀬ダム」とは、秋田県を流れる成瀬川に建設されたダムのこと。
本品パッケージの裏面によると「成瀬ダムで働いているスリランカ人作業員が、工事宿舎で毎日母国のカレーを作って食べている、という話を聞いてその秘伝のレシピを伝授してもらい、試行錯誤を経て完成した自慢のカレーです」。……何ともユニークないきさつです。
半量で足りる ホットな刺激
販売は、成瀬ダムカレー組合。1食分の内容量は100グラムで、通常のレトルトカレーの半量程度です。
温めてご飯にかけたカレーは、サラサラとしたスープ状。茶褐色の液体に、スパイスやタマネギらしい多量の粒子が見えます。具材は、大きさ2~4センチの豚肉が2個。
スパイシーなポークカレーです。あっさりとした口当たりで、旨味などは控えめ。一般的なカレーの風味とは少々異なる、クセのある複雑な香りがします。やや遅れてジワリと拡がるホットな刺激は、辛口に相当するでしょう。
豚肉の小塊は、なかなかにジューシー。三枚肉なのか脂身が厚く、食べ応えがありました。
カレーは少なかったけれど、強い刺激のおかげで、通常と同量のご飯が食べられました。100グラムという内容量は、ケチった結果というわけではなさそう。
日本人に向いているとは言いがたいカレーですが、それだけに、スリランカの庶民の味わいに近いのかも知れません。