出張で大阪を訪れました。
ならば“スパイスカレー”の名店を…と目論んではいたけれど、自由に動ける時間は限られています。なので、訪れられる店も限られていました。
業務の合間に足が伸ばせた店、それが「バンブルビー」です。
大阪市西区の西本町1丁目。本町通と阪神高速道にはさまれた、雑居ビルが建ち並ぶ裏通りにあります。店舗前の歩道に出ている、ハチをが描かれた黄色い看板が目印です。
個性的にして刺激的な味わい
店内はカウンター7席、4人掛けのテーブル2卓。ガネーシャの絵や、インドらしい風景写真、ビールのポスター、電飾…これらの雑多な飾り付けが混然一体となって、不思議な居心地の良さが生じています。
メニューブックを見ると、メインのカレーは5種類あり、それぞれがカレー3種の相がけ。「とり3姉妹」「キーマ三昧」「ジビエ3兄弟」…そそるネーミングが並んでいます。
迷っていたところ、禿頭のマスターに「初めての人はこれ」と勧められ、メニュー最上段に載っていた「3色カリー」を注文。チキンとマトンのキーマカレーに、芽キャベツと牛バラ肉の野菜カレーが組み合わせてあるそうです。
異様な迫力のあるカレーが出てきました。3種それぞれに焦茶色で、どれが何やら分かりません。マスターの説明によると、向かって右側が野菜カレー、左側がマトンキーマ、中央奥がチキンキーマ。ご飯には雑穀が交ざっており、サブジっぽい野菜類が乗っています。彩りなのか、レタスと花びら(食用とのこと)が散らしてありました。
3種3様で、何とも個性的です。野菜カレーは、芽キャベツは煮溶けている模様、鮮烈なスパイスの風味と、軟らかくて甘味のある牛脂が特徴的。マトンキーマは、ペーストに近い細挽きで、シャープな強い刺激でもって、肉のクセを抑え込んでいる印象。チキンキーマは、マトンに比べるとマイルドであっさりとしており、肉の滋味が感じられます。
全体的にとてもスパイシー。ではありますが、マトンキーマのワイルドな刺激が、チキンキーマの優しい味わいを引き立てたり、野菜カレーのバランスの良さに気付かせてくれたり。3種を交互に食べることで、それぞれの特徴が浮き彫りになる…そんな作用があるようです。
食べ終えるころには、額から全身にかけて発汗が。辛さにキレがあり、後味はスッキリとしていました。
大阪の“スパイスカレー”において、同店がどのあたりに位置付けられるのかは分かりません。とにもかくにも、作り手の“主張”がみなぎっており、それが食べ手にビンビンと伝わる、魅力的なカレーではありました。
次に訪れる機会があれば、ヤギとウマとラムレバーの「ジビエ3兄弟」を食べてみたいものですが。これらはジビエに当たるのかな…?