肉をガッツリ食べると、とにもかくにも「食べた!」という満足感が得られます。
それが丁寧に調理されたおいしい肉であれば、さらに満足感が大きくなることは言うまでもありません。
今回訪れた店「IKURU-TABLE(イクル・テーブル)」では、おいしい肉をガッツリ食べさせる、そんなカレーに出合えます。
店舗があるのは、熊本市東区の長嶺西。熊本赤十字病院の裏手に拡がる、住宅地と商業地が混在している地域です。商業施設「シュロアモール長嶺」の東側、3階建てアパートの1階にテナントで入っています。
「味が5回変化する」
カフェ風の店内は、カウンター3席、2人掛けのテーブル1卓、それにボックス席が3つ。各ボックス席にはアンティークな引き戸がしつらえてあり、戸を閉めると個室になります。奥に20人ほど入れそうな広間もあり、セミナーなどが開けるフリースペースとして使われているようでした。
日曜日の正午ごろに訪れたところ、早くも満席状態。人気の高さがうかがえます。私は奥のフリースペースに通され、そこで待つことに。その間にも来店が続き、待機者が10人ほどになったころ、ようやく席に案内されました。
私は運良く(?)ボックス席のひとつに座ることができました。木製の引き戸には、何十年も前に見たような気がする、レトロな磨りガラスがはまっています。そのせいか、何とも落ち着いた雰囲気。
お冷として出されたのは「オリーブ茶」。わずかに緑がかっていて、不思議な風味のあるお茶です。
ランチのカレーは「Satohのカレー」「臥爾廊鉄板ステーキカレー」「日替りカレー」の3種類。夜にはビストロ風の酒肴なども出るようです。
1番人気という「Satohのカレー」を注文。メニューブックには「フルーツを3種、スパイスを24種類使用し、味が5回変化する」などと書いてあります。
ピリリとスパイシーなヴィシソワーズ、ダイコンのミニサラダに続いて、カレーが到着。真っ先に目を引いたのは、大きな肉塊です。サイズは約7×5×3センチあり、「ドドン!」という効果音が聞こえそうなほどの迫力。肉が載っているのはサフランライスで、その周りをカレーが取り囲み、フライドオニオンやパセリ、生クリームなどが配されています。繊細な盛り付けではあるけれど、残念なことに、視線は肉に奪われてしまいますね。
欧風に見えるものの、独特な作りのビーフカレーです。フルーツの酸味や、タマネギの甘味が利いており、コクのある味わい。半面、油脂などの重さは感じられず、軽い口当たりに仕上がっています。ホットな刺激は、中辛より弱め。それでも、スパイスの風味が重層的に香ってきて、全体にキリリとした印象をもたらしています。
大きな肉塊は、牛のバラ肉でしょうか。太い繊維質と、白い脂肪が層を成し、ジューシーで食べ応え充分。フルフルと軟らかな肉にカレーを絡めて食べると、何ともゴージャスなおいしさが。口いっぱいに肉を頬張る、シアワセな時間にひたれました。
この店、開店当初はスープカレーで売り出していたと記憶していますが、その後に方向性が変化した模様。
カレーのネーミングは店主の名字に由来しているらしく、それだけに自信作ということなのでしょう。店の繁盛ぶりを見た限りでは、方針転換は成功と言えそう。…スープカレーも食べてみたかったけどなぁ。