かつて、福岡市“親不孝通り”の名店として知られた「タージ」。惜しまれつつ閉店し、福岡県南部の大川市にリニューアルオープンしています。
親不孝通りにあったころ、私はマサラカレーを食べ、頭がクラクラするほどのスパイシーさに驚いたことがあります。あのマサラカレーをもう一度食べたい…長年の願いがかなう機会に恵まれ、胸を高鳴らせながら大川市を訪れました。
倉庫を改造したと思われる大きな店舗で、道路側に掲げられた看板の「だが、このカレーの味だけは まったく変わっていなかった。」という文字が、期待を高めてくれます。広く明るい室内は4人席が20卓ほど。カップルや家族連れで賑わっていました。
記憶の味よりもレベルアップ?
数あるカレーの中から、迷わずマサラカレーを注文。出てきたのはタールのようにドロリと黒いカレーですが、よく見ると茶色や緑色が混ざり合った“黒”であることが分かります。ご飯は赤米で、キュウリのピクルスが添えられていました。
具もルーも判然としないカレーを口に運ぶと、ネットリとした舌触りとともに、甘味や苦味が折り重なった複雑な味わいが。その向こうには、濃縮された旨味が感じられました。煮込まれたマトンが入っていて、舌の上で繊維状に崩れていきます。モッチリとした赤米は、粘度の高いカレーにピッタリ。食べ始めのパンチがなかった分、辛さがジンワリ後から利いてきて、私は久しぶりに頭がクラクラしました。
記憶の味よりもレベルアップしていたように感じられ、大満足。同行していたカミさんが注文したベンガルカリーも、横から食べてみたところ、野菜がシャッキリと炒めてあっておいしかった。バラエティ豊富なメニューなので、再訪していろいろと食べ比べてみたくなりました。