中部地方試食の穴

異なる辛さが見事に“共存”【静岡 わさびカレー】

静岡 わさびカレー

 日本を代表する香辛料と言えば「ワサビ」。独特の鮮烈な刺激が魅力なのですが、辛味成分が揮発しやすいため、加熱調理には向きません。そのせいか、カレーとは無縁に見られてきました。

 そのワサビをあえて“主役”に据えているのが、今回試食した「わさびカレー」。ワサビ栽培が盛んな静岡県の“ご当地カレー”です。

 丸ごとのワサビがカレーに載っかるイラストも派手ですが、パッケージを緑色の紐で十字に縛った包装がまた凝っていて目立ちます。ワサビ漬を模しているのでしょうか。

 販売は、静岡県島田市のキイチ食品。1食180グラム。

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付属のソース 鮮烈な刺激

 カレーのレトルトパックには、小瓶型の容器「わさびオリーブソース」が付いています。表面には「少しづつかけて辛さを調節してください。」との注意書きが。中身は緑がかった半透明の液体で、茶葉にも似た沈殿物が少々。量は20ミリリットル。

 温めてご飯にかけたカレーは黄土色で、ゆるい粘度。ジャガイモやニンジン、タマネギの細片がコロコロと入っています。鶏肉らしい切れ端も。

 カレー自体は、オーソドックスなチキンカレー。刺激は中辛より弱め。給食で出されるカレーにも似た、日本風の無難な味わいです。
 ところが、付属のソースをタラリと回しかけてみたところ、味わいが激変。ひと口食べただけで、ワサビならではのシャープな刺激が鼻腔へツーンと抜け、両眼に涙がジワリ。そんな刺激も、後を引かずに消え去って、かすかに甘い余韻を残します。ひるみそうなほどの刺激なのに、ガマンする間もなく消えてしまうので、思わずまた食べ…という奇妙なリズムに乗せられ、気が付くと平らげていました。

 辛さの質がまったく異なるカレーとワサビが、ひと皿の中で“共存”。カレーの刺激を抑えてあるせいか、相乗効果こそ見られないものの、打ち消し合うこともありません。カレーを食べてワサビの辛さに涙するという、オドロキの食体験でした。

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