「探訪の穴」での食べ歩きの裏には、訪れながら紹介しなかった店も数多く存在します。理由は主にふたつ。味やサービスなどに難点があって紹介を控えた場合と、たまたま店が閉まっていた場合。前者は身を以て評価したことなので納得がいきますが、後者はただただ残念無念。迷いに迷ってたどり着いて「本日休業」のプレートを目にした時など、己の不運を呪うばかりです。
佐賀市の「Shirayama文雅」は3年近く前、「佐賀県で一番」の評判を聞いて勇躍乗り込み、店休日を調べていなかったためにあえなく玉砕した因縁の店。今回万全を期してようやく入れた店内は、落ち着いた雰囲気の洋食屋風でした。
メニューを見たところ、値段は少々高めですが、種類は豊富。私はビーフ、カミさんはエビを注文しました。
ほのかにバター香る欧風
円形のソースポットに焦げ茶色のカレー、温められた大皿に一口分のバターライスという典型的な洋食スタイル。残りのご飯は別の器に入っています。薬味は福神漬けとキュウリ漬け、そしてラッキョウ。
適度なトロみのあるきめ細かいカレーで、崩れていない程度に軟らかい牛肉の塊が5個。他に薄切りのマッシュルームが入っています。深いコクがあり、舌触りはまろやかで全体的に上品な印象。辛さは後からジワリと利いてくる程度です。ご飯はほのかにバターが香る程度で、こちらも上品。店側が気軽におかわりしてくれました。
カミさんのエビカレーを味見させてもらったところ、プリプリで火の通し加減が絶妙。カレーはビーフと同じでした。具でバリエーションを出しているのでしょう。
店構えから出し方、そして味に至るまで“いかにも”という感じで、ここは欧風カレー屋の見本です。サービスもきさくで気持ち良く、また行きたくなる店でした。
後日談 お店の方からメールをいただきました。「カレーソースは4種類あり、具のバリエーションで10のメニューを用意しております」とのこと。全部試してみたいです。