カレーの名店「ナイル」。
東京・銀座の老舗が知られていますが、今回訪れたのは福岡県の店です。
こちらのナイルは2代目。半世紀近い歴史があった初代は2009年に閉店し、新たな運営会社がレシピを引き継いで営業しているそうです。
福岡市のJR博多駅に隣接するデパート「博多阪急」の地下1階、買い物客でにぎわう食料品売場の一角にあります。店舗はカウンターのみ9席。飲食店というよりはイートインスペースに近い、オープンな店構えです。
9席それぞれに、メニューやカトラリー入れ、冷水のピッチャー、漬け物の容器、ソース瓶、つま楊枝などが、キッチリと配備されていて好印象。カレーに臨む気分を盛り上げてくれます。
メニューは、ベースとなるカレーが「復刻カレー」「スペシャルカレー」「黒カレー」の3種類。それにトンカツやエビフライ、チーズ、玉子など、各種の惣菜をトッピングします。
私が注文したのは、3種類のカレーをひと皿に盛る「3種相がけ」。メニューに載っていない“裏メニュー”ですが、店員さんは普通に受けてくれました。
万人向けというか全方位的な
出てきたカレーは、思わず見とれてしまうようなシロモノ。黄色と茶色と焦茶色、3種のカレーがトリコロールを描いています。縞模様がきれいで、スプーンを入れることがためらわれるほど。
カレーは欧風の作り。ポタージュっぽい口当たりは共通しているものの、3種それぞれに特徴があります。黄色の復刻カレーは、マイルドにしてクリーミーで、幼児でも食べられそう。茶色のスペシャルカレーは、強い旨味の中に、ホットな刺激がジワリ。焦茶色の黒カレーは、やや辛口で、シャープな刺激が後を引きます。
ご飯に合うカレーではあるけれど、惣菜をトッピングしていなかったせいで、イマイチ物足りない。席に配置されていたラッキョウや福神漬をアクセントにしつつ、食べ進みました。
誰が食べても、3種どれかはおいしいと感じられるはず。ただし、それは惣菜をトッピングしてこそでしょう。
トンカツやコロッケなど好きな惣菜を載せることで、万人向けというか全方位的な、ナイルのカレーが完成するのです。