定期的に欧風カレーが食べたくなります。
昨今は「スパイスカレー」が話題ですが。そんな風潮を目にすると、アマノジャクなところがある私は、かえって「欧風」を求めたりするのです。
今回訪れたのは「キッチン サフラン」。欧風カレーで知られる、熊本市の名店です。
熊本市中央区の新大江。JR豊肥線・渡瀬踏切のそばにある路面店です。カフェ風の店内は、カウンター3席と、2人掛けのテーブルが2卓。
ドアを入った途端、鼻をくすぐるバターの香り。スパイスカレーの店とは異なる、欧風カレーの店らしい空気感です。
驚いたことに、厨房を抜けた奥にも客席があり、私はそこに通されました。2畳ほどの細長い空間で、横並びに3席。
どうやら、新型コロナウイルスの感染予防策と思われます。店内を仕切って、密集を避けるための“別室”が設けてあるのです。
いささか不自然ではあるものの、狭くて薄暗くて、妙に落ち着ける席でした。
スープやサラダ…オツな品々
卓上のPOPによると、メニューはビーフカレーの他、カツカレーやグリーンカレーなど。
脳内に「欧風」の2文字しかない私は、この店の“王道”と思われるビーフカレーを注文しました。
料理全体が“コース”として構成されている模様。初めに出てきたのはオマール海老のスープでした。ミルキーにしてクリーミーで、海老の風味が利いています。次の皿には、ポテトサラダと生ハム、それにホワイトアスパラが。ポテサラにかかるオレンジソースが絶妙に合っているなど、何ともオツな品々で、思わずビールが欲しくなりました。
続いて、ようやくビーフカレーが出てきました。ポタージュ状で、チョコレートみたいなチャコールブラウンです。具材は、大きさ4~5センチの牛肉がゴロンと4個。淡いレモン色に染まるご飯は、店名に由来するサフランライスとのこと。
完成度の高いビーフカレーです。表面はツヤツヤと光っているのに、油脂の重さやクドさは感じられず、なめらかで軽い口当たり。その中に、バターの風味やビーフの旨味が溶け込み、深いコクになっています。スパイスの刺激は穏やかで、甘くはないけれど、甘口に近いマイルドさでした。
牛肉は軟らかく、実にジューシー。密集する肉の繊維は、噛んでいるうちに溶けたようになくなっていきます。脂身もおいしくて、“ガッツリ”に近い食べ応えがありました。
本格的な欧風カレーを食べた後は、多量の油脂によって胃もたれを覚えることが多いのですが、今回は感じられませんでした。
それでも、充分なボリュームのあるカレーなので、満腹感から眠気を覚えてしまうかも。自動車で訪ねる場合は注意しましょう。