フォン・ド・ヴォーやブイヨンを取り、ルーを丁寧に作り、肉や野菜をじっくりと煮込み…欧風カレーの調理には、多くの手間と時間がかかります。炒め煮のように手早く作られるインド風とは異なり、欧風カレーのおいしさは、作り手の地道な努力の結晶です。
そんな欧風カレーを楽しめるのが、今回訪れた「ダルマカレー」。現時点ではオープンして間も無いながら、早くも評判を呼んでいます。
熊本市中央区の南坪井町。並木坂と上乃裏通りを結ぶ道路沿い、ビルの2階にあります。店内はモダンなカフェ風で、明るい雰囲気。カウンター8席、4人掛けのテーブル1卓、2人掛けが2卓。
軟らかくジューシーな牛肉
メニューのトップは、欧風のダルマカレー。インドカレーやハヤシライスなども並んでいます。
私はスペシャルビーフカレーを注文しました。「3日間煮込んだ牛肉をゴロンと入れました」との説明書きにそそられたのです。
出てきたカレーは、ドロリとしたチョコレート色で、何とも濃厚そう。牛肉らしい、5~7センチ立法の肉塊が1個入っています。その脇には、ウズラと見られるゆで玉子2個と、フライドオニオンが。パセリのかかったご飯は、ヒョウタンみたいに整形されていますが、これは店名のダルマを模してあるのでしょうね。
マイルドな欧風カレーです。パンチのある旨味や、穏やかな甘味、香ばしい苦味などが混ざり合い、深いコクを生んでいます。見た目のとおりに濃厚ではあるけれど、クドさやしつこさは感じられません。
確かに「ゴロン」としている風情の牛肉は、太い繊維質が簡単にほぐれる軟らかさ。ジューシーな食感で、牛脂の甘さが利いています。具材は肉だけですが、ゆで玉子とフライドオニオンが、食べ応えに変化をもたらしていました。
欧風カレーにありがちな食後の“ドッカリ感”は皆無。カレーのおいしさが、バターなどの油脂に依存していないのでしょう。ボリュームにも味わいにも満足しました。
メニューに載っていた唯一のデザート、レモンパイもイケます。たっぷりかかったホイップクリームと、さわやかな酸味が印象的。ビーフカレーの“締め”に合っていました。