喫茶店で食べられる軽食の中で、カレーは筆頭格と言えるでしょう。そこそこ無難な味で、手早く出せる便利な料理です。しかし、中にはコーヒーよりもカレーにこだわる奇特な店もあります。
今回の「ぶらうん」もそのひとつ。熊本市花畑町の繁華街、銀杏通り沿いの雑居ビルの2階にある画廊喫茶です。
階段前の路上には、「うまい!」「辛い! 本当のカレー」などと書かれた看板が置かれ、期待感を高めてくれます。
店内は喫茶店というよりスナック風。創業は昭和38年とのことですが、これまでに改装しているのか、古びた感じはありません。ディレクターズ・チェアのような革製の椅子は、カッコ良かったけれど、座りにくかった。「画廊」を謳っているだけに、壁にアマチュアが描いたとみられる油絵がいくつも飾ってあります。
深いコクと複雑な旨味
自慢のカレーは、ソースやシチューを思わせる英国風。店名と同じくブラウンの、濃厚そうな印象です。具は煮溶けてしまったらしく、スプーンでいくら探しても見つかりません。ご飯は普通の白米で、型抜きで紡錘形に盛ってあります。その傍らには、福神漬けなどの漬け物が添えられ、“喫茶店のカレー”という気安さが感じられました。
食べてみると、見た目通りのコッテリとした味わい。深いコクと複雑な旨味が、ご飯と良く合います。個人差もあるでしょうが、表の看板に書いてあるほど「辛い!」とは思えませんでした。中辛程度と思われます。やや苦味が混じっているようで、これは隠し味にコーヒーでも入れてあるのかもしれません。具な無いものの、漬け物をアクセントにすることで味わいに変化がつき、飽きずに食べ進むことができました。
1皿を正味5分程度で平らげました。もちろんおいしかったからでもありますが、私には、ご飯の量がやや足りませんでした。大盛りで食べてみたかった。