日頃から「カレーなら何でも好き!」と豪語している私ですが、比較すると「好きなカレー」と「とても好きなカレー」に分かれます。傾向があるのです。
スパイシーなインド風やノスタルジックな日本風も好きですが、私の一番の好みは、シチューのようにコッテリとした欧風カレー。肉の滋味に溢れ、ドロリと濃厚なルーの中には、長時間煮込まれた大きな肉塊がゴロリ…そんなカレーが理想です。
今回食べた「Boxin」(ボクシィンと読みます)のカレーは、私の理想に近いものでした。常連客に連れられて訪れ、メニューにカレーが載っていたので頼んでみたところ、「ビンゴ!」だったのです。
熊本市の繁華街・上通アーケードの外れから路地に入った突き当たり、城東町のパレインシャル生駒ビル1階にあります。奥まった場所にあるので、見付けにくいかもしれません。モダンな洋食屋という感じで、20席程度の小さな店です。
牛肉の強い旨味がジワリ
見た目にも濃厚そうな、コゲ茶色のカレー。肉塊なども入っているようですが、外見だけではよく分かりません。ご飯の脇には、リンゴの角切りがいくつか添えられています。
食べてみると、思ったとおりのコッテリ、ネットリした食感。牛肉の強い旨味がジワリと口腔に浸み、煮込み系にしては意外に強いスパイスの風味が舌を刺します。トロみが強いせいか、シチューよりもはるかに濃厚な味わい。肉塊はホロホロと軟らかく、野菜や果物は煮溶けてしまっているようです。
モッタリしすぎているため飯粒に絡みにくいカレーですが、味が濃いので“佃煮”としてご飯に合う感じ。1人分のカレーで、2皿分のご飯が食べられそうです。リンゴは口休めに最適でした。
店を1人で切り盛りしているマスターは、「たくさんの材料で手間をかけるので、あまり大量に作れず、売り切れてしまうこともある」と話していました。このカレーにめぐり逢えた人は幸いです。私と似た嗜好の人は、ぜひ食べてみてください。