自衛隊員が戦闘時などに食べる「戦闘糧食」。私たち民間人が実物を口にできる機会は少ないのですが、見学者などへの“土産用”として隊内で販売されている製品があります。
そのひとつが、今回試食した「防衛糧食 陸型 I カレーライス」です。パッケージには戦車があしらわれているものの、「当商品とは一切関係ございません」との注意書きが。
製造はホリカフーズ。カレーとご飯がセットになっており、カレーが180グラム、ご飯が200グラム。どちらも「レスキューフーズ」という銘柄です。
半透明で厚めのパッケージは、縦29センチ、横22センチ。1食分にしてはかなりの大きさですね。中には、カレーのレトルトパック、米飯の真空パック、発熱剤の小袋、発熱溶液の小袋、プラスチック製のレンゲ、そして紙ナプキンが入っていました。
30分かけて食材を加熱
パッケージは下部が拡がっていて自立する構造。その内底に発熱剤を置き、カレーとご飯の容器を納めて、発熱溶液を注ぎ入れます。すぐに化学反応が起き、発熱剤から気泡がシュワシュワと。温まった発熱溶液で、食品を加熱する仕組みなのです。目安は30分。
同様の製品を以前にも試食したことがありますが、あちらは水を調達しなればなりませんでました。本品は水さえも要りません。
まだ湯気を上げているパッケージから、カレーとご飯を取り出します。やけどしそうなほどの熱さ。ご飯の容器の上ぶたをはがし、そのままカレーをかけて食べます。粘度のユルいカレーは焦茶色。小さな肉片が数個と、ニンジンの欠片がチラホラ。
ビーフの旨味とフルーティーな甘味が特徴的な、欧風のカレー。具材の存在感にはとぼしいものの、スパイスの刺激もそこそこあって、無難な作りと言えます。ご飯は硬くてパサパサですが、スープ状のカレーには合うので、かえっておいしく食べられました。
食べるまでの“手続き”は煩雑ですし、分量も決して多くはありません。ですが、一般的なレトルト製品とは異なる基準で評価すべきでしょう。
この製品の利点は、熱源も水も要らずに“温かいカレーライス”が食べられるところ。戦争や災害がもたらす状況でのニーズが、暗に想定されている訳です。非常食に活用されずに済むことを願います。