バンペイユ(晩白柚)という果物があります。ザボンの仲間で、柑橘類としては世界最大級。厚い外皮から発散されるさわやかな芳香や、果肉のホロ苦い味わいが特徴です。
私が住んでいる熊本県八代市は、そのバンペイユの名産地。地元農家の栽培による重さ4.8キロ超のバンペイユが、「ザボン区で重量世界一」としてギネス世界記録に認定されたこともあります。
今回試食した「ばんぺいゆカレー」は、バンペイユが入ったレトルト製品。地元のプロレスラーにしてシンガーソングレスラー、ハヤブサがプロデュースしたそうです。
パッケージには「大人限定/ビターテイスト」「苦みを楽しめるオトナなカレー」などと印刷されています。子供には向いていないということでしょうか…?
1食200グラム。販売はエフエムやつしろ。
フルーティーな苦味と酸味が…
温めてご飯にかけたカレーは、濃いブラウン。適度なトロみがあり、ミンチ状の肉と、緑色の細片が見えます。スパイスのにおいに、甘酸っぱい香りが加わっているのが分かります。バンペイユの香りを知らない人は、驚かされるかも。
旨味で食べさせる日本風のカレー。ミンチ肉はビーフとポーク。中辛程度の刺激です。
ピーマンのようにも見える細片は、バンペイユの皮とのこと。カレー自体の作りは万人向けと思われますが、そこにフルーティーな苦味と酸味、シトラス系の強い風味が混ざり込み、何とも異様な味わいに。バンペイユが入ることで、食べ手を選ぶシロモノに変貌してしまったようです。
バンペイユの風味が強すぎるところが、いささか残念な結果をもたらした模様。メントールに代表されるスウッとする爽快感は、カレーには合わないのです。
とは言え、地元民でさえ食べた経験が少ない…そんなバンペイユのミステリアスな側面を伝えてくれるカレーではありますね。