「あなたにとってカレーとは?」と訊かれたら、迷わず私は「コミュニケーションツールです」と答えます。
カレーが好きな私は、カレーが好きであるということを通じ、カレーが好きな多くの人たちと交流してきました。まさにコミュニケーションツールなのです。
私の観念を具現化したような活動をしているのが、その名もズバリ「カレーコミュニケーション」です。
元料理人の大久保さんと、元バーテンダーの近藤さんの2人組。キッチンカーで日本を縦断しながら、カレーを販売しています。
将来は地元・愛知県豊橋市で、大久保さんは飲食店、近藤さんはゲストハウスの開業を目指しているとのこと。そのための“人間修行”や“人脈づくり”として、日本縦断に乗り出したそうです。
旅の“ロマン”伝わる味わい
たまたま私は 、自宅近くにキッチンカーが立ち寄ることをSNSで知りました。行かない訳にはいきませんよね。
スーパーマーケットの駐車場にトラックが1台。本格的な調理器具が積まれていると見られる、立派なキッチンカーです。白いボディには日本地図が描かれ、これまでの道のりがマーキングされています。
大久保さんも近藤さんも、気さくな人物。会話の中で、「二度と行けそうにない土地を、この機会に回りたいんですよね」との言葉が印象的でした。
カレーは「欧風ビーフカレー」のみ。普通盛りと大盛りが選べ、私は前者にしました。
紙製の四角い容器。ご飯の上にはウズラのゆで玉子が3個。ダークブラウンのカレーはポタージュ状で、具材はよく分かりません。
牛スジ肉のカレーです。強い旨味と甘味が特徴的。食べているうちに唇が粘ついてきたのは、多量のコラーゲンが煮溶けているためでしょう。キリリとした辛さがあり、オトナ向けの仕上がりでした。
カレーに溶けてしまっているのか、肉の存在感はイマイチ。その分、豊橋市産というウズラのゆで玉子が、味や食感のアクセントになってくれました。
おいしいカレーでしたが、それ以上に、日本を旅することの“ロマン”みたいなものが伝わってきた気がします。見えない調味料ですね。
この“ロマン”は将来、2人が開業する飲食店の料理や、ゲストハウスの雰囲気などに活かされることでしょう。