念願だった「和田門」でカレーを食べました。
何年も前、デパート地下の食品売り場に卸されていたテイクアウトを食べたことはありますが、やはり店舗で食べてみたい。長らく機会をうかがっていたのです。
福岡では有名な、肉料理の高級レストラン。数日前に予約を入れ、ワクワク半分、ドキドキ半分の心境で訪れました。
福岡市中央区の西中洲。旧福岡県公会堂貴賓館の南側、料理店などが建て込んでいる一画にあります。店構えは小体ながら、老舗ホテルを思わせるシックな外観。
白いテーブルクロス、銀のカトラリー…
案内されて螺旋階段を下りると、地階がホールになっていました。クラシックが流れる店内は、暖色系の調度で統一され、何とも落ち着いた雰囲気。パーティションで区切られたテーブル席の間を、ウェイターやウェイトレスたちが、ジュウジュウ音をたてているステーキ皿を運んでいます。
隅のテーブル席に通されました。真っ白なテーブルクロスに、銀のカトラリーが映えています。予約時にスペシャルビーフカレーを注文していたので、椅子に落ち着いたら、あとは待つだけです。
ミニサラダに続いて、カレーが登場。グレイビーボートを満たすカレーは、まさに漆のような漆黒で、表面がツヤツヤと光っています。メインの大皿には、バターライスが中央にひと口分。残りのライスは別容器に盛られています。薬味の小皿も付いてきて、ラッキョウと福神漬け、ゆで玉子をほぐしたものが少量。
丁寧に作られた、欧風のビーフカレーです。なめらかで上品な口当たりが印象的。ビーフの旨味に、甘味や苦味などの味覚がバランス良く溶け合い、深いコクを生んでいます。どこかキリリとしたドライな味わいも感じられ、まさに“オトナのカレー”。やや遅れて、ホットな刺激がジンワリと。バターライスは風味が良く、レーズンとフライドオニオン、リンゴの角切りが混ぜてあり、食べ進む際のアクセントになっていました。
カレーの具材は、6~7センチ角の牛肉が2個。エッジが立っているのに、実際は軟らかく、スプーンで簡単に切ることができます。フルフルとした甘い脂肪分と、ジューシーな繊維質が、ミルフィーユみたいな層を形成。いつまでも噛んでいたかったけれど、気が付けば胃にスルリと入っていました。
食後のデザートは、ショウガを利かせたミルクのアイスクリーム。これにコーヒーが付いていました。
九州で食べられる欧風カレーとしては、おそらく最高峰あたりに位置するのではないでしょうか?
その本来のおいしさは、デパ地下のテイクアウトでは決して分からない。店の雰囲気にひたりながら食べてみて、そう思いました。