試食の穴

古賀市の柑橘を活かす【みかんがはいったチキンカレー】

みかんがはいったチキンカレー:パッケージ

 カレーに柑橘系のフレーバーは合いません。キリッとした苦味や、スウッと香る清涼感は、カレーの味わいにおいてはマイナスに作用するのです。
 隠し味程度であればともかく、“主役”に起用するのは避けた方が無難…私はそう考えていました。かつて「ばんぺいゆカレー」を食べた経験から。

 ですが、それは私の見識が浅かったようです。

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油脂をあっさりと食べさせる

 今回試食したのは「みかんがはいったチキンカレー」。その名のとおり、柑橘類が“主役”です。パッケージにはミカンらしいイラストが載り、裏面には「ネーブルのペーストとミカンの皮を煮込んだ、ヘルシーで爽やかなカレーです」などと書かれています。

 販売は福岡県古賀市にある農村加工所「まんま実~や」。1食200グラムなのに、値段は一般的なレトルトカレーの3倍近いという高級品です。

みかんがはいったチキンカレー:実物

 温めてご飯にかけたカレーは、深みのあるブラウン。野菜類がミゾレ状になって混ざり、ゆるいトロみを生んでいます。鶏肉らしい1~3センチのカケラを3個ほど発見。鼻を近付けてみたものの、ミカンやネーブルらしい香りは感じられませんでした。

 よくできたチキンカレーです。フルーティーな甘味と酸味が、肉の旨味を引き立てています。ひと口目にホロ苦い風味が感じられるものの、クドさやキツさにまでは至りません。刺激は表示どおりの「辛口」ですが、辛さがスッと消えていくので、意外と食べやすい。後味に少々、柑橘系の風味が残ります。
 鶏肉は硬く、旨味が出尽くしている模様。半面、煮溶けているタマネギやショウガなどが、滋味となって存在感を出しています。パッケージの成分表によると、ナスやズッキーニなども入っているそうです。

 油脂をあっさりと食べさせる柑橘類の良いところを活かしつつ、カレーとぶつかりそうな風味を巧みに抑えてある印象。あの「ばんぺいゆカレー」も、ここまで作り込めていたら…と思わずにはいられませんでした。

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