長期休暇を取ってカナダを旅行しました。東部のオンタリオ州にある大都市・トロントを拠点に、レンタカーでナイアガラやモントリオールを訪ねる気楽な旅です。治安が良くて物価が安いうえ、自然がいっぱいで、よそ者にも親切に接する人々が住んでいるカナダ。中でも「世界で一番住みやすい街」と言われるトロントの居心地は快適で、私はパスポートを破り捨てて永住したくなりました。
カナダの食べ物と聞いて誰もが思い浮かべるのは、サーモンやメイプルシロップでしょう。また、移民が築いた国なので、ヨーロッパ各国をはじめ、中華やベトナムなど、世界中の料理を食べることができます(もちろん和食も)。…とくれば、カレー者として見逃せないのがインド料理。トロントには華僑と並んで印僑も多いそうで、繁華街では「Indian Cuisine」などと書かれた看板をよく見かけました。
今回の旅行では、「カレーの穴」を愛読してくださっているトロント在住の大沼はるみさんに、いろいろと助けていただきました。大阪出身のグラフィック・デザイナーで、ご自身もトロントを紹介する日本語のサイト「Torontonian Club」を運営されています。地元在住者にしてカレー好きという強力な助っ人です。
いろんな料理をバイキングで
旅行中に2軒のインド料理店を訪れました。1軒は飛び込み、もう1軒は大沼さんの紹介です。結論から言うと、どちらのカレーも大満足でした。
1軒目の「SANGAM」は、ダウンタウンのBay Street沿い、Babara Ann Scott Parkという公園の近くにあります。単品もありますが、表に「Buffet」というネオンサインが出ているとおり、カレーのビュッフェを食べることができます。カレーは羊肉や鶏肉のほか、豆類や野菜など7種類。他にサフランライスやナン、タンドリーチキン、サモサ、デザートなどが取り放題、食べ放題です。
写真はグチャッとしておいしそうに見えないかもしれませんが、これは私が欲張って「あれもこれも」と料理を取りすぎたため(このころ使っていたデジカメの性能が低かったことも原因=後日談)。油脂を多用した濃い味付けのインド風カレーです。作りたてばかりではないので、ややスパイシーさに欠けていたものの、私は大皿で3杯食べました。中でも羊肉のカレーが、肉の旨味が出ていておいしかった。
2軒目の「INDIAN FLAVOUR」は、巨大なショッピングモール「Eaton Centre」の向かいにある「Atrium on Bay」というビルの中にあります。こちらもビュッフェが食べられる店で、カレーも7種類でしたが、付け合わせなどの品数がSANGAMより多かったようです。大沼さんのお薦めはナスのカレーで、スパイスの香りが移った油脂がナスに染み込み、コッテリとした味わい。こちらも3杯たいらげ、同行していた大沼さんを苦笑させてしまいました。
どちらの店も、食べ終えた皿をすぐに下げてくれるので、常にきれいな皿に料理を取ることができ、カレーの味が混ざらずに済みます。値段は10ドル前後という安さ。トロントに住んで毎日でも通いたい店でした。
大沼さんの話では、トロントのインド料理店は気軽なビュッフェ形式よりも比較的、高級店が多いとのこと。カレーについては、“カナダ化したカレー”があるわけではなく、あくまでもインド料理のひとつという位置づけ。また、日本食を出す店には和風のカレーライスがあって地元の人々に好評、日本人や中国人が経営するパン屋ではカレーパンも作られているそうです。
ところで、大沼さんは「カナダではインスタントのスープやヌードルのパッケージに『チキン味』と書いてある場合、食べてみるとたいていカレー味なんです」と話していました。私には確かめる機会がありませんでしたが、不思議ですね。