
蕎麦をカレー仕立てにしたものが「カレー南蛮」。
ですが、慣れ親しんでいるカレーうどんに比べ、いささか“マイナー”というか“邪道”というか、そんなネガティブな印象を抱いてしまいます。正直「繊細な蕎麦を、わざわざカレーまみれにする必要はないのでは?」との思いがあるのです。
今回訪れたのは、 手打ち蕎麦の専門店 「柳屋」。保守本流っぽい店なのですが、メニューには「カレー南ばん」の文字が。
熊本県の中部、中山間地にある甲佐町。熊本市から国道443号を南下し、緑川に架かる橋を渡ると、左手に見えてきます。
明るい店内は、スッキリとした和風モダンなしつらえ。4人がけのテーブルが4卓、大きな窓に面して設けられたカウンターに11席。
ジャンクで庶民的なおいしさ
開店と同時に、ほぼ満席に 。 評価の高さがうかがえます。 玄関脇の飾り棚に『ミシュランガイド 熊本・大分』掲載店を示すプレートを見付けました。
私は以前、ここの田舎蕎麦を食べたことがあります。香ばしいおいしさが、強く印象に残っています。
メニューは、蕎麦類を中心に、親子丼などのご飯物や、ホルモン煮込みなどのツマミ系も。それに合わせて酒類は、日本酒にビール、焼酎に加え、ワインまで載っています。
注文したカレー南蛮(南ばん)は冬季限定。11月から2月ごろまで扱っているようです。

出てきたのは、かけ蕎麦の中央にカレーを載せたようなシロモノ。カレーの中には、何やら細かく切った野菜類が入っているようです。
ゆるいトロみがついているカレーには、小さめに切られたタケノコやニンジン、レンコン、青ネギ、ゴボウ、鶏肉などの具材を確認。醤油が利いていて、カレーと筑前煮が合わさったような風情があります。
キリッとドライなツユに、風味豊かな蕎麦。そこに和風のカレーが合わさると、ちょっとジャンクな、庶民的なおいしさが生まれます。ツユに溶け出た蕎麦が、カレーに独特なまろやかさを加えている模様。
ご飯に合うでしょうし、酒肴としてもイケそうです。伸びないうちに蕎麦を食べて、残った汁をチビチビ飲みながら、おにぎりを食べたり、ビールを飲んだり…“天抜き”のような食べ方をしてみたくなりました。
食後は全身がホカホカに。刺激は控えめですが、それでもスパイスは利いているのです。
蕎麦だけではもったいない。メニューには親子丼があるのですから、カレー丼も加えてほしいなぁ。