イチゴ入りのカレーを食べるのは初めてではないけれど、慣れるものではありません。つややかなイチゴを配した、何かのスイーツにしか見えない製品パッケージを見ていると、いささか気後れしてしまいます。
…それでも、結局は食べるんですけどね。
今回試食したレトルト製品「いちごのカレー ピンク」は、栃木県の“ご当地カレー”。パッケージには「栃木県産/とちおとめ/ピューレ使用」などと書いてあります。
とちおとめの存在感が全開に
実は私、このカレーを食べたことがあります。正確に言うと、このカレーの“旧バージョン”である「いちごのカレー」を食べたのです。
名称に「ピンク」が加わった本品、何がどう変わったのでしょうか?
販売は栃木県日光市の永井園。1食200グラム。
温めてご飯にかけたカレーは、 ポタージュ状のユルいトロみ。ピンク色というか桃色というか、ファンシーにして甘酸っぱそうな、スイーツのようなビジュアルです。イチゴの果肉や、タマネギのカケラなどが、チラホラ確認できました。 表面にパラパラと散って見えるゴマみたいな粒子、これはイチゴの種でしょう。
作りは洋食風と見られますが、何とも独特なカレーです。強い旨味と、クリーミーな食感に、穏やかな酸味が加わっています。スパイスの風味はほとんど感じられず、刺激も皆無で、カレーらしさを見出すのが困難です。
イチゴの果肉を食べてみましたが、味わいはカレーへ抜けている模様。そのせいか、突出したクセなどがなく、それなりにおいしく食べられてしまう、奇妙な仕上がりでした。
以前食べた“旧バージョン”は、普通っぽいビーフカレーに、イチゴのペーストを混ぜ込んでありました。無難にまとまっていた半面、イチゴの存在感の希薄さに不満を覚えたものです。
ところが、本品「ピンク」の方は、逆に“イチゴ感”を全開にしている感じ。強いインパクトがある分、食べ手を選ぶほどの珍品になっています。個人的に嫌いではありませんが、やや“ゲテモノ感”を帯びる結果となり、これはこれで悩ましいところですね。