今回試食したのは「漁師まかないカレー」。
製品名の「カレー」の部分は本来、「口偏+加」と「口偏+厘」の2文字です。パソコンやインターネットでは使えない、珍しい漢字を充ててあるらしく、このような表現になってしまいました。「伽哩」とかなら良かったのに。
しかも、レトルトパックが収まっているのは、ダンボール製の立派な化粧箱。このカレーが訴えようとしているらしい野趣や素朴さとは裏腹に、妙な高級感を覚えます。
食感クニクニ、潮の風味も
マグロの胃袋が使われているそうで、パッケージの説明によると「漁師しか食べれない究極の食材」。重さ100キロのクロマグロから、2キロ程度しか取れないとか。…そんな希少部位のイメージが、珍しい文字や、凝った包装などで表現されているのかも知れません。
長崎県佐世保市にある丸協食産の製造。1食200グラム。
温めてご飯にかけたカレーは、濃いブラウン。ポタージュ状のトロみがあります。大きさ3~4センチの内臓系っぽいシロモノが、コロコロと十数個。これらがマグロの胃袋と思われます。
意外にも、欧風のシーフードカレーに近い作り。魚介系の強い旨味が特徴的で、ご飯に合います。焼きトビウオのダシを、隠し味に使ってあるとのこと。キレのあるシャープな刺激は、中辛より強めでしょう。
マグロの胃袋は、クニクニとした食感。ホルモンのようにも見えますが、サックリ噛み切れるところはハツを思わせます。それでも、咀嚼しているうちに、潮の風味がにじみ出てきました。
「マグロの胃袋って、あまり出回らないんだろうな」「カレーとしても珍しいんだろうな」…そんなことを思いながら、何となくパッケージ裏の成分表をながめてみたところ、材料名に「マグロ胃袋(養殖)」を発見。養殖マグロの胃袋だったのです。
いささか拍子抜けしたものの、すぐに思い直しました。希少部位がレトルトカレーとして手軽に食べられるようになったのは、養殖が普及しているおかげ。良いことですよね。