“ご当地カレー”には数々の醍醐味があるのですが、中でも“ちなみ”が面白いと個人的には思っています。
レトルトカレーという製品を、当地の名所や名物などに関連付ける、その理由です。しっくりとハマっていて納得できるものもあれば、いささか無理筋なこじつけもあって、なかなかに興味深い。
今回試食したのは「龍馬(軍鶏)カレー」。高知県の“ご当地カレー”なのですが、どのような“ちなみ”があるのでしょうか?
“詰まっている”印象の肉
パッケージの隅に、小さな文字で「龍馬に愛され、暗殺される前に買いに行かせたとされる軍鶏をカレーにしました」と書いてあります。坂本龍馬の好物にちなんだカレーなのです。
軍鶏(シャモ)は高知県の名物。カレー製品を作る際、県出身の志士も絡めてしまった訳ですね。
販売は高知市の四国健商。1食200グラム。
温めてご飯にかけたカレーは、落ち着いたブラウン。ユルいトロみがついています。表面が光っていますが、これは油脂ではなく、デンプン由来と思われます。シャモと思われる鶏肉と、タマネギなどが、ミゾレ状になって溶け込んでいます。鶏肉は大きさ1~3センチほどの小塊も数個ありました。
欧風の作りです。旨味の強い、濃厚な味わいが特徴的。1さじ分のカレーで、3さじ分ほどのご飯が食べられそう。人によっては“クドい”とさえ感じるかも知れません。スパイスの刺激は中辛程度でしょう。
肉の小塊は、シャモだけあって繊維質が密集し、“詰まっている”印象。ではあるものの、ポーションは小さく、カレーが濃すぎることもあって、存在感はイマイチでした。
パッケージ裏面には、龍馬が暗殺される5日前に書いた書簡に「新国家」との文言が入っていたという説明が、龍馬の筆跡と一緒に掲載されています。
新国家を夢見ていた龍馬が、シャモを待っていて油断し、殺されてしまったのだとすれば…何とも罪深い食材ですね、シャモは。