今回は老舗をリポートします。実は、長年にわたって見過ごしていた店なのです。
老舗であるがゆえに、その場の風景になじみすぎていて、目にしてはいたのに意識していなかった…そんな店。こちらの怠慢とも言えそうですが。
熊本市南区の城南町。宇城市へと伸びる国道266号沿いに、「辛口カレー」と書かれた黄土色のノレンを掲げる店があります。カレー専門店「MIYAZIMA(ミヤジマ)」です。
少なくとも20年以上前から営業しているはず。当サイトを開設する以前に、カレーを食べた経験があるからです。これまで取り上げそびれていたのは…やはり、私の怠慢でしょう。
ゆで玉子の処遇に悩む
店内の作りは民芸調。昔の釣瓶井戸に使われていたらしい滑車が、天井に飾ってあったりします。前身は居酒屋だったのかも。カウンターは2席。小上がりが2箇所にあって、4~5人ほど着けそうな座卓が計5つ。
メニューは、基本のカレーに惣菜を組み合わせてバリエーションを出すスタイル。トンカツやエビフライ、ハンバーグなど。それぞれに激辛や大盛りができます。
今回は「日替わりカレー」を選んでみました。この日は、白身魚のフライがトッピングされるとのこと。セットにすると、ミニサラダとドリンクが付くそうです。
お冷と一緒に、殻付きの玉子が入った小鉢が出ました。ゆで玉子です。これは、カレーを待つ間の“アミューズ”なのか、カレーを食べる際の口直しみたいなものか…?
食べ方を思案しているところに、カレーが到着。広皿の半分にご飯が、もう半分にカレーが、きれいに盛られています。ご飯の上にフライが横たわり、隅にはダイコン漬が少々。
カレーはポタージュ状で、具材は見当たりません。強い旨味で食べさせるタイプです。小麦粉由来らしい粘りがあり、口当たりは滑らか。シャープさのある刺激は、中辛程度でしょう。
白身魚のフライは、大きさ約11センチ。揚げたてで香ばしく、それなりにカレーに合っていました。
ご飯と惣菜の仲を取り持つ、ソース役に徹している感じ。突出した特徴が無いだけに、惣菜を選ばず、食べ手も選ばない、“間口”の広いカレーと言えそうです。
それにしても、気になるのはゆで玉子の処遇。私は結局、カレーを食べる合間にパクつきました。それなりにおいしかったものの、いつ食べるべきなのか、これで良かったのか…お店の人に訊いてみるべきでした。