カレー屋の業態のひとつに「カレースタンド」があります。駅構内や地下街の片隅で見かける、カレーを手軽に食べさせるカウンター中心の店です。
熊本の数少ないカレースタンドが「クレイン」。市内中心部の鶴屋百貨店地下で長く営業し、移転を繰り返して、駕町通りのビル3階に落ち着きました。ここは奇しくも、食べ放題のカレー屋「喰仁」があった場所。カレーに縁が深いようです。
店内は喫茶店風で、明るい雰囲気。「喰仁」が営業を続けている…そんな錯覚を抱きそうになります。
トッピングで多彩なバリエーション
メニューは、トッピングでバリエーションを出すスタイル。トンカツやハンバーグ、目玉焼き、納豆など20種類以上あり、薄焼き卵による「オムカレー」も。
今回は、店名を冠した「クレインカレー」を注文しました。
円い磁器の皿に、ご飯が紡錘形に盛られ、こげ茶色のカレーがたっぷり。カレー自体の具は見当たりません。ご飯の上には、エビフライ1本とコロッケ1個、スライスしたゆで卵1個分が載っています。
カレーは、ポタージュのようなトロみ。刺激を抑えたマイルドな味わいで、後味にキリッとした苦味が隠れています。トッピングの引き立て役に徹した“おいしすぎない”作りで、エビフライにもコロッケにもゆで卵にも馴染んでいました。
卓上のウスターソースをかけてみると、甘味と酸味が加わって、カレーがよりおいしくなります。お試しあれ。
「CoCo壱番屋」などの大手に押され、カレースタンドは全国的に消えつつある模様。カレースタンドではなくなったものの、往時の味を残す「クレイン」は、今では貴重な店と言えるでしょう。息長く続いてほしいものです。