キノコはカレーの名脇役。インド系のカレーではあまり見かけませんが、欧風などの煮込み系には出番が多い。促成栽培されるシメジやまいたけなどは、安価で年じゅう売られ、重宝します。
名脇役でおいしければ、主役だって務められるはず。評判の、キノコをメインに据えたカレーを食べに行きました。
場所は大分県日田市。農協が経営する物産館「木の花ガルテン」に併設された、その名も「きのこレストラン」。キノコ専門なのです。
木材をふんだんに使ったヨーロッパのシャレー風で、100席以上ありそうな広い店です。入り口正面に冷蔵ショーケースが据えられ、地元産のさまざまなキノコが並んでいます。
キクラゲ? シメジ? 多彩な具材
トリュフやマツタケを使った高級なコースを尻目に、私が注文したのは「きのこカレー」。庶民派の食通としても知られる嵐山光三郎が、某料理雑誌のカレー特集で、全国ベスト3のひとつに選出した逸品です。期待が高まります。
大きめの皿に盛られたカレーは、濃いブラウンの欧風。盛りだくさんの具は、すべて何らかのキノコと思われます。キクラゲ入りのサラダとコーヒー付き。
辛さは中辛程度ですが、とてもスパイシー。食べた途端に、鮮烈な風味が鼻へ抜けていきます。切られてカレーにまみれたキノコは、どれが何なのか判然としないものの、エノキダケやキクラゲらしい“コリコリ”や、シイタケやシメジらしい“クニクニ”など複雑にして多彩な食感。炒めタマネギと思われる、しっかりとした味のベースがあり、そこにキノコから出た植物系の旨味が乗っていて、とても深い味わいが生まれています。
キノコの魅力が最大限に引き出されたカレーと言えるでしょう。“カレー料理”としても完成度が高い。「木の花ガルテン」は多数の農産加工品を開発しているので、レトルトで製品化してほしいです。