宮沢賢治の小説「注文の多い料理店」の舞台となる、不思議な料理店、それが「山猫軒」です。
この店名は全国に点在している模様。店主が宮沢賢治ファンだったり、立地が山奥だったりする場合、よく名付けられるのでしょうね。
今回訪れた「カフェ山猫軒」は、木々が密生する山奥に建っています。服を脱がされたり、全身に塩をもみ込んだりさせられることはないようですが…。
熊本県の南阿蘇村。久石地区から外輪山を越えて西原村に至る県道39号線の途中、ホテル「グリーンピア南阿蘇」へ向かう脇道に、小さな看板やノボリ旗が出ています。そこから山道を上った先にある、木々に囲まれたキャビン風の建物です。
ボリューミーだけど胃腸に優しそう
店舗は住宅を兼ねている模様。靴を脱いで上がると、そこは天井の高い、広々とした板張り。小さな正方形の座卓が6卓ほど置かれ、座布団が散らばっています。詰めれば30人くらいは入れそう。一方の壁一面にCDやDVD、オーディオ機器などがギッシリと詰め込まれており、目を引きます。
大きなサッシ窓、その外にはウッドデッキが。ペット連れのお客が、ここで食事をしていました。
南インド風のカレーがメインで、フードメニューは「お野菜とお肉のダブルカレーセット」のみ。別に子供向けのカレーも用意されています。
トレイに載って、カレーが到着。玄米が盛られた皿と、カレーが入った2個の小鉢です。ご飯の周りには、パパドやライタ、アチャールなどが配されています。ミニデザートとドリンク付き。
小鉢の中身は、カボチャが煮溶けているポタージュ風の黄色いカレーと、塩味や旨味が利いたチキン入りの赤いカレー。両方をご飯にかけ、パパドを砕き散らして、付け合せと一緒に混ぜ合わせながら食べます。
カボチャの自然な甘さや、スパイシーなチキンに、付け合せの酸味、噛まれて弾けたホールスパイスの風味などが加わって、何とも重層的なおいしさ。地元で無農薬栽培されているという玄米も、独特の噛み応えがあって好印象でした。
見た目よりもボリューミー。その半面、胃腸に優しいカンジで、「良いモノ食べた」という満足感がありました。
山奥にも関わらず、店内はなかなかのにぎわい。山猫の“魔力”に匹敵するものを、ここのカレーは秘めているようです。