各種食品を常温で長期保存できる、便利なレトルト加工技術。ちなみに、国内で生産されるレトルト食品の半数近くがカレーと言われています。
しかし、食品を100度以上の高温で加熱殺菌するレトルト加工では、食材本来の味わいが変質・喪失したり、独特の“レトルト臭”が生じるとも言われます。このため、あえてレトルト加工を選ばず、冷凍での保存・販売にこだわっているメーカーや店舗も少なくありません。
今回試食したのは「LES HIRONDELLES CURRY(レ・ジロンデル・カレー)」。黒地に金色をあしらった、何とも重厚そうなパッケージには、冷凍カレーのパウチが収まっていました。
高級感ある冷凍カレー
カレーと一緒に入っていたパンフレットによると「フレンチシェフがこだわり抜いた贅沢カレー」とのこと。京都にあるフレンチレストランと共同開発したそうです。
製造は、京都府福知山市の飛燕。1食200グラム。
温めてご飯にかけたカレーは、濃いめのブラウン。固形分が多そうな、モリモリとした粘度と質感があります。いくらか肉が入っているようですが、見ただけではよく分かりません。
欧風のビーフカレーです。最初に感じるのは、フルーティーな酸味と、しっかりとした甘味。やや遅れて、炒めタマネギのものらしい、香ばしくて上品な苦味が。これが味わいを引き立て、カレーのグレードを向上させている印象を受けました。スパイスの風味は控えめで、後からジワリと拡がるホットな刺激は、中辛よりも弱めでしょう。
大きさ1センチ前後の牛肉がコロコロと。小塊ではありますが、カレー全体に散らばっていて、意外に食べ応えがあります。肉の油脂がカレーと馴染み、ご飯を進ませるおいしさを生んでいました。
冷凍カレーは、保管するには冷凍庫に入れ、食べる際は熱湯で長めに温めなければなりません。レトルト製品に比べ、明らかに不便。
とは言え、このカレーが打ち出している“贅沢さ”や“高級感”は、手軽で気軽なレトルトカレーの反対側にある模様。冷凍にまつわる不便さは、むしろ魅力を高める方へ働いているようです。