洋食やエスニック料理などとは縁のない店が、カレーを“裏メニュー”として提供している場合があります。
いろんな食材を煮込めるカレーは、飲食店の“まかない”に採用されることが多いので、その副産物かも知れません。あるいは、料理人としての腕前が確かであれば、異なるジャンルの料理もおいしく作れるということなのかも知れません。
今回訪れた「吉ふく」は、フグ料理の専門店。ジャンル的には和食で、メニューにカレーは載っていません。
カレーを食べられるのは、毎月第1・3木曜日の昼のみ。地元のイベント向けにカレーを作ったところ、これが好評を博したため、カレーランチを始めたそうです。
食べ応えあるランチメニュー
熊本市中央区花畑町の繁華街、銀杏通りに建つビルの2階。入口に掲げられたランチの案内板に「アナタの胃袋に闘魂注入!!」などと書いてあり、カレーへの意気込みが伝わってきます。店内はカウンターが8席と、フスマで仕切られた座敷があります。
ランチは「幻のカレー」「ふぐカレー」の2種類。違いはフグのフライの有無らしいので、フライが載っている後者を注文しました。
カレーが到着。紡錘形に盛られたご飯のふもとに、ポタージュ状のカレーが広がっています。3~4センチほどの肉が3個。ご飯に立てかけられたフグのフライは、長さ約13センチ、やや湾曲しているところはバナナのようです。ミニサラダとコーヒー付き。
欧風のビーフカレー。ですが、野菜などを煮溶かしてトロみを出しているようで、深いコクはあるけれど、重さやクドさは感じられません。シャープな刺激は中辛程度。ビーフはスジ肉らしく、フルフルに軟らかいゼラチン質が、何とも魅力的です。
ひときわ目立つフライは、揚げたて熱々で、食べ応えも充分。ミッシリと身が“詰まっている”感じなのに、とてもジューシーです。魚でありながら、どこかチキンカツを上品にしたような風情があって面白い。
満足満腹のカレーでした。カレー目当ての人々で、店内は結構なにぎわい。ふぐカレーをきっかけにフグ料理が食べたくなったのは、私だけではないでしょうね。