「一点豪華主義」という言葉があります。辞書的な意味は「全体的には質素でありつつ、特定の物事については出費を惜しまずに豪華さを追究するあり方」などとされます。
すべてが豪華であるに越したことはありませんが、それは難しい。ならば、全体を平均化させるか、ある部分を突出させるという方策、料理としては後者の方が特徴が生じたりして都合が良いようです。
今回食べたカレーは、一点豪華主義という言葉がピッタリ。ソーセージなどの加工・販売をしている店「オーデン」の名物「スペアリブカレー」です。
ボリューミーにして軟らかい
店は熊本市南区の平成中央公園に近い、平成大通り沿いにあります。入口正面にはハムやソーセージが並ぶ冷蔵ショーケースが。右手奥がウッディなしつらえのレストランになっていて、テーブル席のみ15席ほど。
メニューには、スペアリブカレーのほか、ホットドッグやハムサンドなどが載っています。
カレーを注文、待つことしばし、楕円形の大皿に盛られたカレーが登場しました。骨付きのスペアリブが、“ドドン”とばかりに横たわっています。骨は長さ約13センチ。そこに、厚さ2.5センチ、幅5センチ前後にわたって肉が付いています。他に具材は見当たりません。ミニサラダとドリンク付き。
カレーの作りは、オーソドックスな欧風です。タマネギやニンジンなどが煮溶けている模様。フルーティーな甘味と酸味が利いています。モッタリとした強めの粘度は、小麦粉によるものでしょう。スパイスの刺激は、中辛よりやや弱い感じ。
スペアリブはボリューミーにして軟らかい。肉の形状が保たれているものの、スプーンだけで簡単に骨から離れます。口に入れると、ミッシリと密集している繊維質から、旨味がジュワッ。トロリと甘い脂身もイケます。燻製されているらしく、咀嚼していると独特のスモーキーな香ばしさが。焼いた肉とはまた違うおいしさがありました。
何が“主役”なのかがストレートに分かるひと皿。とは言え、スペアリブの魅力を、カレーがうまく引き立てていたようにも思えます。ご飯にパセリがかかっているなど、豪快ながらも上品さがうかがえますし、一点豪華主義に見えて、実は全体のバランスを考えて仕上げてあるのかも知れません。