
鉄道の食堂車……利用した記憶が、私にはボンヤリ残っています。数十年前の幼少期です。
寝台列車に連結されており、メニューはカレーライスと肉うどんのみ。私はカレーを食べたのですが、“こちそう感”は無かったように思います。……当時、もう食堂車のニーズは低下しつつあったのでしょう。
今回試食したのは「復刻 新幹線 懐かしのビーフカレー」。かつて東海道新幹線の食堂車で提供されていたカレーを復刻したという、レトルト製品です。
パッケージの表には、昔懐かしい新幹線0系車両が。それを裏返すと、食堂車の室内写真や説明文などが掲載されています。
食堂車の中で食べたかった…
製造は兵庫県神戸市の「エム・シーシー食品株式会社」。1食200gです。
温めてご飯にかけたカレーは、明るめのブラウン。ゆるいトロみがついています。具材は、牛肉と思われる大きさ1~2cmの小塊が数個、それとニンジンらしい砕片が見られました。
洋食風のビーフカレーです。強い旨味で食べさせる、マイルドな味わい。学校給食のカレーに近いものが感じられます。スパイスの刺激は中辛程度で、食べ進むうちに辛さがジンワリと利いてきました。
牛肉の食べ応えはイマイチだったけれど、広く老若男女に受け入れられるであろう、全方位型のおいしさ。ご飯にかけることで初めて完成される、“国民食”としてのカレーの典型例を見た気がしました。

このレトルトカレー、私は自宅の台所で食べたのですが。食堂車の車窓から、ビュンビュン流れる風景をながめながら食べていたら、また格別だったことでしょう。