地震や水害に見舞われた、石川県の能登地方。
当地の“ご当地カレー”を、ネット通販で入手しました。物産品の購入が、被災地復興の一助になれば……と考えたのです。
今回試食したのは「『俺たちの能登』カレー」。
商品名にある「俺たちの能登」とは、能登地方の若手農業者グループのこと。ウェブサイトをのぞいてみたところ、「地域経済の将来は特色ある農業の再生にかかっている」として、農業振興を進めているそうです。その活動は、被災後の現在も続いている模様。
パッケージには、サツマイモやニンジン、レンコンなどが鮮やかに盛り付けられたカレーの写真が載っています。ところが、写真の脇には「トッピングの野菜は入っていません」。
改めてパッケージを見直してみたところ、商品名の「俺たちの」と「能登」の間に、小さく「野菜にかける」との文字がはさまれていることに気付きました。この製品は“野菜カレー”ではなく“野菜のためのカレー”なのでしょう。
野菜をトッピングして“完成”
販売は金沢市の「薄井青果株式会社」。1食200gです。
温めてご飯にかけたカレーは、濃いブラウン。モッタリとした重めの粘度は、小麦粉由来と思われます。固形分は多そうですが、具材は煮溶けてしまっているのか見当たりません。
濃厚なビーフカレーです。強い旨味の中に、鋭い酸味が利いて、豊かなコクが生まれています。スパイスの刺激は、中辛よりはやや強めと思われます。
ミンチ状の牛肉が入っており、いくらか舌先に触ったのですが、具材らしきものはそれだけ。ご飯に合う味わいではあったけれど、今ひとつもの足りない印象でした。
ただし、付け加えておきますが、このカレーは能登地方の野菜類をトッピングすることで初めて“完成”するように作られています。物足りなくて当然なのです。
濃厚なカレーと、みずみずしい野菜が出合えば、おいしいコントラストが生まれることでしょう。能登地方の道の駅などで買った新鮮な野菜を、素揚げしたり蒸したりして、どっさり載せて食べたい。必ず食べよう。……そう強く思わせてくれるカレーでした。