カレーには多彩な薬味があります。インド風ならチャツネ、英国風ならフライドオニオンなどが代表格。日本人はまず福神漬けやラッキョウを挙げるでしょう。
ところがある日、料理雑誌「dancyu」(プレジデント社)のカレー特集を読んでいた私は、カレーの薬味として「イカの塩辛」が合うという記事を見つけました。
あの生臭いイカを塩漬けにした食品が、カレーの付け合わせになるとは思えません。イカの塩辛は決して嫌いではないのですが…。
とはいえ、記事によると、実際に薬味として使用している店があるとのこと。ゲテモノのたぐいではないようです。
生臭さ消え、旨味引き立つ
イカの塩辛は「桃屋のいか」を使用。比較的オーソドックスな部類と思われるからです。カレーの方も、オーソドックスに「ボンカレーゴールド(中辛)」に。
カレーとイカの塩辛、おそるおそる食べ合わせてみたところ、悪くない“珍味”です。スパイスの作用か、イカの生臭さが消え、代わりに旨味が引き立ちます。ルーとの相性にも違和感はなく、風味の強いシーフードカレーを思わせる味わい。
イカの塩辛は元来、ご飯に合うので、食が進みました。
ただし、旨味とともに塩味も強くなるため、塩分はマイルドな方が合うようです。また、あくまでも“薬味”としての使用が適しているようで、ルーの中に塩辛を多めに混ぜ込んでご飯にかけてみたところ、しょっぱすぎて食べられませんでした。
カレーが残り少なくなった時、私は「もしや…?」と思い、冷蔵庫の奥に残っていた酒盗(カツオの塩辛)を薬味に使ってみました。
これもなかなかの味。“塩辛系”は総じてカレーに合うようです。わずかなルーで大量のご飯を食べなければならない事態(どんな事態かは分かりませんが)におちいった時、塩辛の薬味は大いに威力を発揮するでしょう。
イカの塩辛は“嬉しい誤算”。意外なおいしさに出合うことができ、私は自分の不明を恥じました。