熊本県の南部・八代地方に伝わる陶芸「高田焼」。
朝鮮渡来の陶工によって始められたという、青灰色の上品な陶器です。表面にほどこされている白い象嵌が特徴とされます。
この高田焼の器でカレーが食べられる店が、今回訪れた「Cafe&Gallery 伝七」です。
八代郡氷川町の今地区。国道3号線から東へ少々入った集落にあります。
高田焼の窯元のひとつ「伝七窯」に隣接している模様。2階建てで、1階は陶器を展示・販売するギャラリー、2階がカフェです。
カフェの店内は、カウンター3席と、大小のテーブル席が4卓。住宅のダイニングキッチンみたいな風情です。
苦味がキリリ 濃厚な欧風
メニューはカレーが中心。カツカレーやキーマカレーなどが並んでいる中、「目玉焼き&ソーセージカレー」を選んでみました。写真の脇に添えられていた「『ダルマカレー』オリジナル」との文言に引かれたのです。
かつて熊本市の南坪井にあった「ダルマカレー」。欧風カレーの店で、ダルマの形に盛られたご飯が印象的でした。「伝七」では、閉店したダルマカレーのレシピを引き継いだそうです。
出てきたカレーは、高田焼の丸皿に盛られていました。焦茶色のタール状で、見るからに濃厚そう。長さ16センチほどの細長いソーセージが2本と、目玉焼きがトッピングされています。ミニサラダと漬物の小鉢付き。
「特濃」と表現したくなる、何とも濃厚なビーフカレーです。たくさんの肉や野菜が溶け込んでいるらしく、複雑にしてコク深い味わい。中でも苦味がほどよく利き、全体をキリリと引き締めている印象。スパイスの刺激は、中辛よりもやや強めでしょう。
肉自体は煮溶けてしまい、わずかに脂身のカケラや、繊維質などが残っている程度。それほどに濃いものの、クドさやシツコさは不思議と感じられません。硬めに炊かれたターメリックライスに合っていました。
トッピングのソーセージと目玉焼きは、食べ進む際の良いアクセントに。ソーセージからあふれ出る肉汁や、目玉焼きの半熟の黄身で、カレーの“味変”が楽しめました。
お店の方から「カレーが足らなかったら、注ぎ足しますよ」という嬉しい申し出が。実際には足りていたのですが、ありがたく追加をお願いし、味わい深いカレーをじっくりと堪能しました。