毎夏「芦北伽哩街道」が始まると、初日に駆けつけるのが「味乃なじみ」。
長年にわたり仲良くしていただいているということも大きいのですが。研究熱心な女将さんが工夫を凝らした、さまざまなカレーが楽しみなのです。
ところが今夏は、諸事情により初日は営業できなくなったそうで。カレーが食べられたのは、イベント開幕から1週間後でした。
熊本県の芦北町佐敷。佐敷川にかかる山崎橋の近くに、店舗はあります。店内はカウンター5席、4人掛けのテーブル2卓。奥に個室も。
カウンターの背後の壁面に、うねる白龍が描かれています。2020年7月の豪雨災害を乗り越えて同店が再開した際、地元在住のマンガ家・村枝賢一さんが描いたそうです。
楽しみなことが多い店
メニューは定食や丼物が中心。中でも天丼は、ボリュームがあって個人的にオススメです。
この日は、イベントの参加メニュー「南インドのサバカレー」を注文しました。
出てきたカレーは、ご飯とは別盛り。カレーは赤褐色で、サラリとしているものの、タマネギなどの具材がたくさん入っています。トッピングしてある、素揚げピーマンの緑色が鮮やかです。ご飯の方はインディカ米(バスマティライスとのことです)のサフランライス。ミニサラダ、それにレモンと三つ葉の小皿が付いています。後者は「食べながら“味変”に使って下さい」。
トマトの酸味が利いたカレーです。強い旨味もあり、タマネギ由来の甘味と調和しています。スパイスの風味は穏やかですが、サバのクセを巧みに抑えている印象。そのサバの身は、口の中でホロリと崩れる軟らかさで、食べ応えも充分です。
バスマティのご飯は、パラパラとしていて、軽い口当たり。カレーの味わいに合っており、いくらでも食べられそう。たちまち胃袋に収まりました。
庶民的な食堂という風情の同店ですが、その枠に収まらないものが女将さんにはあります。「街道」のカレーのほか、近ごろリリースされたレモンケーキなどもそうでしょう。…何かと楽しみなことが多くて、ウォッチし続けている店なのです。