カレーを作る際、“工夫”をしない人は少ないでしょう。カレーはとても自由度が高い料理で、さまざまなアレンジができるのです。
とは言え、このような知識は整理・体系化されていません。「カレーにケチャップを少し入れるとおいしくなる」ということを知っている人に、「どうおいしくなるのか?」と聞いてみても、きちんとした回答は得られないでしょう。
そこで、カレーの隠し味の謎を解くべく、自ら実験してみました。
“隠し味”としての調味料は無数にあり、個人での網羅は不可能。そこで、一般家庭に常備され、カレーに使うことが知られている代表的なものを選びました。ウスターソース、ケチャップ、醤油、牛乳、コーヒー(インスタント顆粒)の5品です。
すでに醤油は検証しているのですが、今回あえて同列に再検証しました。
もたらされる効果を知っておこう
使ったカレーは、お気に入りのグリコ「熟」の中辛。湯で溶いたルーを大さじ2杯ずつ5等分し、それぞれに調味料を小さじ1杯ずつ混入しました。実際の料理よりも調味料の割合が多くなっていますが、それだけ味の変化が明確になるはずです。
材料や料理法によって味わいが大きく異なるカレーには、“最適の隠し味”は存在しません。食べ手の嗜好にも左右されますし。
そこで、隠し味がもたらす効果を、重点的に調べました。
結果は下記の通り。これを見ると、例えばカレーに醤油と牛乳を一緒に入れると、塩味が強くなり過ぎることが分かります。また、酸味は塩味を和らげる作用があるので、塩辛くなったカレーにウスターソースやケチャップなどを入れると具合が良さそう。実験の最後に調味料すべてを混ぜてみたところ、相殺し合ったのか、魅力のない凡庸以下の味になってしまいました。調味料を使う際は、個々の効果を念頭に置くべきでしょう。
・ウスターソース … 酸味が強まる。ソースの味が前面に 。
・ケチャップ … まろやかな酸味が加わる。甘味も少々。
・醤油… 塩味がかなり強まる。旨味が増して和風に。
・牛乳 … 辛味が弱まりマイルドに。塩味がやや引き立つ。
・コーヒー … 強い苦味が加わる。味わいに深みが。
・5種混合 … 味が複雑になるだけで、おいしくはない。
今回の実験は天竺堂1人で行ったため、味覚に偏りが出ている可能性もあります。ワインや味噌、チョコレートなど、試さなかったものも多い。今後もカレーを作る度に、さまざまな“挑戦”を続けていきたいと思います。