短歌や俳句と並ぶ、日本固有の詩歌「川柳」。創作上の約束事が比較的少ないせいか、庶民に広く親しまれ、最近では世相を反映した「サラリーマン川柳」や「パソコン川柳」なども生まれています。
ならば、「カレー川柳」があっても良いではありませんか。カレーのある情景、カレーをめぐる人生、カレーに向けた想い…それらを5・7・5の22文字で、自由に表現してみるのも一興です。
五七五でカレーを詠む
そこで、当「カレーの穴」で募集してみたところ、7月30日から8月31日までの期間中、全国から79件の応募がありました。一度に何作も投稿したり、二度三度と投稿した熱心な人も。作品も多種多様で、勢いで詠んだとみられる珍作から、ヒネリを利かせた力作まで。これらを鑑賞するたびに、「いろんな人が、いろんな川柳を詠むんだなぁ…」などと当たり前すぎる事実を再認識させられたものです。
川柳の募集に当たっては、特製カレー粉と「カレーの穴 Tシャツ」を賞品にしました。当選者は10人。応募者全員に差し上げたいところですが、趣味で行っているため、自腹を切りすぎるわけにもいきません。川柳の素養など持たない私ですが、一読後のインパクトやカレーへの情熱などを評価基準に、10人を選ばせていただきました。なお、私のカミさんが都都逸を趣味にしているので、やや畑違いではありますが、審査に加わってもらいました。
以下に、当選者10人の作品と、私たちの感想を掲載。併せて、選外ながらも面白かった20作品を紹介します。
少年は 憧れ続けた キレンジャー シゲオー(大阪・男) 「秘密戦隊ゴレンジャー」が誇る、力持ちでカレーが好きなスーパーヒーローです
カレーぐらい 作って見ろと 妻が言う 円ちゃん(茨城・男) あなた、ゴロゴロしてばかりいないで、たまには料理のひとつでも…(以下エンドレス)
凝りすぎて 再現できない あのカレー 美奈子(兵庫・女) 大成功だったカレー。ケチャップと醤油とリンゴと牛乳と…あと何を入れたっけ?
口から火 ハートも燃える 彼のカレー erin(千葉・女) 彼が作ってくれるカレーは、ちょっと辛いけれど愛情たっぷりなのです
弁当の おかずにカレーの 辛い過去 ボストニアン(東京・男) お母さんの手抜き弁当。「辛い」が「つらい」と「からい」の2通りに読めます
カキ氷 インドカレーと 球音と 橋爪直規(愛知・男) キーワードは「夏」。ギラギラと照りつける太陽がよく似合いますね
祝い事 鍋一杯の カレールー 城崎和久(奈良・男) 誕生日、節句、入学式…めでたい日には、大好物のカレーが無くっちゃ!
覚悟しろ! 喧嘩の後の 激辛カレー ゆっきー(愛知・女) 夫婦喧嘩の恨みを込めたカレー。食後に喧嘩が再開されたりして…
今日よりも 明日がうまいと 腐らせる DF16(千葉・男) 一晩寝かせたカレーは確かにおいしいのですが、夏場などは無残な結果に
夜カレー 翌朝カレー 昼カレー たちさん(愛知・男) ご馳走からまかないへ…家庭のカレーがたどる“輪廻転生”が簡潔に表現されています
カレーだと 3杯食べれる 女でも/カレー屋で ハヤシを食べる あなたが嫌い/玄関を 開けずに当てる 夕御飯/海の家 出てきたカレーは ボンカレー/辛さのみ 追い求めると 道外し/超力作を 5分で食べきる だんな様/カレー汁 飛び散り染み取り あと一滴/関西人 カレーはぐちゃぐちゃ 混ぜるもの/かれーなる 手さばきなのに コリャアンダー/カレー食べ 歯磨きせずに キスできる?/いつまでも あるとおもうな きのうのカレー/レトルトも 鍋にあければ お手製よ/セロリの葉 捨てるな刻め 鍋入れろ/カレーには 水が一番 茶は二番/たいかれー あぁたいかれー たいかれー/インドには 足を向けては 眠れない/野菜室 これでは今日も カレーだな/こどもにも 辛口食わす カレー好き/ホントかよ 毎日カレー インド人/お盆の日 墓前で食べる 母のカレー