主役はカツオ(宮崎県宮崎市)

カツオの料理といえば、高知県の土佐や、鹿児島県の枕崎が有名。ですが、太平洋に面している宮崎県も、数多く水揚げされていることから、隠れた名物となっているそうです。
宮崎市の中心部、県庁近くにある郷土料理店「杉の子」。試行錯誤を重ねて考案されたという「かつおカレー」を食べました。
3階建てのビルで、ランチの客は3階に案内されます。陶磁器や版画が飾られた店内は、民芸調の雰囲気。
目当てのかつおカレーは、単品のほか、カツオのタタキや小鉢料理とのセットメニューも。今回は単品を注文しました。
大きめの皿にたっぷりと盛られたカレーは、スパイスに混ざってカツオの香り。ゴーヤーやナス、シシトウなど夏野菜の、鮮やかな色合いが目を引きます。その間にゴロリと見える数個の塊は、カツオの身でしょう。自家製らしいラッキョウ漬けが添えられています。
カレー自体は、もったりとした素朴な作り。辛さも控えめです。家庭的な味わいですが、後口にカツオの風味が残ります。カツオの身は、牛の赤身に似た食感で、噛み締めるとイノシン酸の強い旨味がジンワリ。野菜は素揚げされ、カレーによく合っていました。
食後、デザートとしてフルーツの小鉢が出ました。
カツオ入りの“珍しさ”というインパクトは少ないものの、それは、カレーと違和感なくマッチングされている証拠。完成度の高さがうかがえました。