
丁寧な作りで高級感も(多伎振興)
イチジクを“売り”にしたカレーは、以前、愛知県の「西春カリー」を食べたことがあります。中辛ながら、フルーティーな甘さが際立つカレーでした。
今回の試食は、その名もスバリ「いちじくカレー」。島根県出雲市のメーカーによるレトルト製品です。
パッケージによると、イチジクの中でも甘味が強い品種・蓬莱柿(ほうらいし)を使っているとのこと。出雲市多伎町の名産品だそうです。
「中辛」と書いてはありますが、こちらのカレーも、強い甘味が前面に出ているのでしょうか?
1食200グラム。見た目は、欧風カレーを思わせる、落ち着いたブラウンです。果物類や野菜類をすりおろしたような粒の粗いペーストの中に、肉の小片がいくつか確認されました。
ベースは炒めたタマネギで、そこに甘味や酸味がバランス良く配合されています。肉はチキンで、エキスが出尽くして硬くなっていたものの、カレー自体に旨味がしっかりと出ていました。野菜などのペーストでトロみが補われているせいか、小麦粉が使われている割に、口当たりに“重さ”は感じられません。
時おり、奥歯にカリップチッと感じられるのは、イチジクの種と思われます。ペーストにして混ぜ込んであるのでしょう。
甘ったるいかと思いきや、意外にも高級感漂う仕上がり。高い完成度には好感が持てましたが、その分、“イチジクらしさ”が犠牲になっているようです。…物産PRを狙った商品開発って、難しいですね。