
哺乳類の多くは、泳ぐことができるそうです。カナヅチなのは、キリンやコウモリ、類人猿くらいとか。
ですから、海を泳ぐ牛は、珍しい存在ではありません。…とは言っても、この製品のパッケージに載っている“牛カキ”の写真を見ると、やはり奇妙な印象を抱いてしまいます。
その名も「およぎ牛 極上カレー」。島根県隠岐島の“ご当地カレー”です。
隠岐島の知夫村では、牧牛たちを島々へ泳がせて渡らせる伝統があり、それにちなんだビーフカレーとのこと。…けれど、島根産の牛肉を使ってあるというだけらしく、泳ぐ牛との関連は薄いようです。
販売は一文字家。1食200グラム。
脂身に上品な旨味が
温めてご飯にかけたカレーは、オレンジがかった茶色。ポタージュ状のトロみがあります。具材は、牛肉らしい小さな塊が3個程度。
小麦粉のモッタリ感があるものの、滑らかな舌触りに仕上がっています。スパイスの刺激は控えめで、甘口程度。フルーティーな甘酸っぱさの中に、かすかな渋味が感じられ、それが独特のコクに。
主役の牛肉は、脂身に上品な旨味が感じられますが、「極上」のネーミングを裏切らないだけのボリュームが欲しいところです。
私の住む熊本県には、泳いで海を渡るイノシシの目撃談があります。これにちなんでシシ肉の“ご当地カレー”を発売しても、バチは当たるまい…などと考えてしまいました。