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妙に食べやすかった理由は…【バリ島のカレー】

バリ島のカレー

 インドネシアのバリ島を、観光で訪れました。観光地化が進んでいる海沿いのクタと、古来の文化が残る高地のウブドに、それぞれ3泊滞在。珊瑚礁を間近に見るシュノーケリングや、ジャングルの急流を下るラフティング、きらびやかで幻想的な伝統芸能…などなど、世界有数のリゾート・アイランドだけに、未知の面白さを満喫できましたが、カレーのリポートを忘れるわけにはいきません。

 ところが、街にはカレー料理の専門店など見当たらず、一般的なレストランのメニューには載っているものの、特に「カレーが絶品」と評判になっているような店もありません。そこで、クタとウブドで滞在したホテルの食堂を利用してみました。

 クタで滞在した「Poppies」は、小ぢんまりと落ち着いたコテージタイプのホテル。やや離れた場所にメイン・ダイニング「Poppies Restaurant」があり、おいしい料理とエキゾチックな雰囲気が評判です。
 注文したのは、この店の名物というビーフカレー。黄緑色のタイカレー風で、竹籠に入ったご飯とガーリックトーストが付いています。具は牛肉のほかにジャガイモや赤唐辛子、白ネギなど。コクのある辛口ですが、どこか日本のカレーに似た味わい。ご飯は固めながら意外にふっくらと炊けており、サラリとしたカレーをかけると、違和感なく食べられました。

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観光地で出合った強い旨味

 ウブドでは、日本人に人気の「Agung Raka bungalows」に逗留。ここのカレーは、鶏肉入りのアッサリ味で、見た目はやはりタイ風です。魚のダシを思わせる強い旨味が感じられました。

 2つのホテルのカレーは、いずれも日本人好みの似通った味でした。「おいしい」と言えるレベルだったものの、どちらも“これぞバリ島のカレー”という個性に乏しかったのが残念。望み過ぎでしょうか?

 胸中に広がっていた不満は、ウブドのスーパーマーケットを訪れた時に解消しました。陳列棚に山と詰まれた「味の素」の白い袋! バリ島のカレーの秘密はこれだったのです。
 帰国後に聞いたところによると、東南アジア諸国では近年、日本製の旨味調味料と電気炊飯器が食生活に大きな影響を及ぼしているとのこと。親しみやすい味になるはずです。ご飯が思ったほどパサパサしていなかった理由も分かりました。
 インドネシアの料理は、タイや中国、オーストラリアなど周辺諸国の影響が強く、それだけに日本人の口に合う味ばかり。私たちが訪れた中で“ハズレ”の店はありませんでした。しかし、それは料理から土着の個性が失われたことの裏返しでもあり、少々寂しい現実を垣間見る結果となりました。

 ところで、帰りのインドネシア航空では、機内食にラムカレーが出ました。これが本格的なインド風で、機内食とは思えないほどスパイシー。バリ島でのモヤモヤとした気持ちも、いっぺんに晴れました。

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